Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

久保惣美術館―数の美術展

本当は今日は鳥取に行く筈だったのに、Y旅行が人が集まらないと。
別の日に変えてくれればというので変更したら、もう一杯ですと。
お陰で娘が小1の時、家族で行くはずだった鳥取旅行、
憩室炎後で行けなかった鳥取旅行のリベンジならず。
せっかく晴れの特異日を狙っていたのに。


というわけで、ちょっとおかんむりのかーちゃんと家族。
気分転換に久保惣美術館にお出かけ。
娘も小学校でポスターを、私は図書館でチラシを、
それなら初日の今日から行きましょう。
数もキリ番、20101010、縁起がいい。
昔は東京オリンピックを記念して体育の日だったはずなのに、
どうして移動祝日になんかしたんだか、いまだに納得できない。


ともかくこの近辺はお祭りの時期。
旅行者も人集めしにくかったのだろう。無念。
この時期、久保惣美術館の庭は美しい。
もちろんまだ紅葉には早いけれど。
ということで、おお、幟(のぼり)が立っている。


本館の方に抜けて、先にお茶室を眺めてから鑑賞することに。
茶室は公開時間が限られていて、小学生はまだ入れない。

緑の葉陰、木漏れ日、金木犀、風の色が明るく
見事な小さな空間を際立たせています。
一段と低くなったところに降りると、川が流れていて、
太鼓橋の向こうに目指すお茶室。


本当に、文化果つる大阪の昔の商売人は、
企業家が私財を投げ打ち、趣味と贅を尽くして
いいものを残そうとしたというのに、官のすることと来たら。
(今の政治家を思うと、血圧が上がります)


京都にはこんなところ山ほどあるよって言われたら、
そうかもしれないと思うけれど、なかなか近場で
これほど落ち着いた場所も見つからないので、貴重。


大切にコレクションを、庭屋敷を、故人の、一族の財産を、
みんなに還元して伝えていこうという姿勢の表れ、
それに畏敬の念を抱く、久保惣美術館。


ああ、空が澄み渡って高くなって来た。
外からはだんじりのお囃子が聞こえる。
昨日今日はこの辺りの祭り。
さて、今日の展示品を拝みに行こう。
あれ、まるでこれはだまし絵だね。



今回の特別展のテーマは「数の美術」
サブタイトルは「数えて楽しむ東アジアの美術」
展示の切り口というのはまことに面白く、数、数字、
それをどんな風に美術品の中に見出していくか。
展示そのものの仕立てが論文の目次と奥行き、
その内容を示していて面白い。


まるで関係の無い別々の作品、美術品、絵画、民芸品も、
一つの概念の元に集められ、とある時代の思想を裏打ち、
反映、追随、垣間見られる時代の息吹に思わず見入り、
微笑み、驚き、怪しむ。楽しい展示。


小さくコンパクトな美術館でありながら、ゆったりした室内空間、
緑溢れる庭、心豊かなしつらえに、散策しながら佇み、
しっとりと流れる時間を楽しみたくなる。そんな美術館なのだ、
ここは・・・。


同じ紫式部でも、アップで接写、水面に映る影、
それぞれ趣が異なり楽しい。
昔の碾き臼を敷いた作品の上に踊る秋の夕べの木漏れ日、
いよいよ近付いてくるだんじりの笛太鼓に人の声。
そろそろ祭りも終盤、少しは見に行ってみるかなあ・・・。

伊勢物語絵巻の探究―和泉市久保惣記念美術館本の分析 (美の光景)

伊勢物語絵巻の探究―和泉市久保惣記念美術館本の分析 (美の光景)