佐野洋子逝く
決して大好きな作家というわけではない。
『百万回生きたねこ』のファンではあるが。
あ、そうだ、走っていくクリスマスツリーの話も好きだった。
- 作者: 佐野洋子
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それでも大人になってから読んだ絵本、エッセイだったので、
子供の感性で読み解いた本は一冊も無い。
オマケに、谷川俊太郎の奥さんだったことを知った時、
ああそうなんだと思い、そうだったのかとも思い、
割り切れないような、それでいて納得できるような、
複雑な気持ちになったことも確か。
- 作者: 佐野洋子
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工藤直子を知った時、その詩集の挿絵が佐野洋子だった。
これって子供の本じゃないよね、何だか自分が毒されていくようで怖い、
そう思って読んだ佐野洋子のエッセイ。
生々しく、静かな迫力のある読後感は、私にとっては力を得るような、
さわやかなものは何一つ無く、考えさせられるしんどさばかり、
どさっと投げ出されて、ため息を付きたくなる、
そんな内容が多かった。
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私が若すぎるから付いていけないだけなのか。
厳しい時代を生きて来た、そんな人の後姿を眺めながら、
自分には到底理解できない、したくも無い世界だ・・・と半ば諦め、
距離を置いてきた。それくらい、その個性に巻き込まれ影響されることに、
抵抗を覚え、抗いたいものを感じさせた存在。
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乳がんだった。それにしても早すぎる。72歳。
ただでさえ女性の平均寿命が長い今の時代に、この年齢では。
早過ぎる。いや、よく分からない。
闘病を公表していた人間は、戦う姿勢と同時に諦観を併せ持つ。
どこかで終点が来ることを意識しつつ、毎日を生きること。
それが、望んだ生活だったのだろうから。
いや、望まなかったとしても、生き方だったのだろうから。
- 作者: 佐野洋子
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あの、あくの強い、個性的な迫力は、永遠に彼方に逝ったのだ。
そう思う、今日の夕刊の前で。
- 作者: 佐野洋子
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