Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

白髪を抱く先輩に 

出張先で呼び止められた。
齢(よわい)半世紀を過ぎた私を、「チャン付け」で呼ばわるのは誰?
前の職場の先輩。お互い年を取っているのに、
すぐに分かるのが嬉しいというか、何というかちょっと複雑な心境。


それにしても当時から若白毛だとは思っていたが、
先輩のおつむりが余りに真っ白なので、ちょっとびっくり。
会議の関係で全く雑談する時間も無く、会釈のみで別れてしまい残念。
それにしても、今でも私は昔のままの呼び名で呼ばれるのか。
これまた嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な心境。
若い頃と面差しが変わっていないと思えばいいか。(笑)

状況分類別 敬語用法辞典

状況分類別 敬語用法辞典

出張そのものは楽しいものではなく、役職上、立場上。
顔見知りの人がいたとしても、会釈程度で終わり。
近況を話し合うようなお付き合いではない。
単なる顔見知りであって、親しくも何とも無く、
それどころか、半ば避けていたい人もいる。
仕事上の付き合いだから、平然としていられる。
それでも礼儀と冷静を通り越した「慇懃無礼」な元同級生や、
元の職場の同僚と同席するのは、少々気疲れがしないでもない。


開き直って、休憩中居眠りしたくなるくらい、疲れる。
声を掛けてくれる人がいるのは嬉しいけれど、
それに機敏に反応できないくらい眠い、と言うか、
疲れている・・・。いかん、こんなことでは。


元の同僚で少し先輩と共に帰宅。
なるほど白髪の先輩は、それなりのお立場にあるようで、
昔同様の雰囲気でもなさそうだが、私にとっては、
昔の顔しか覚えがないわけで、向こうも同様、
親しげに声を掛けてくれたのかもしれない。


自分が年を取ると同様、相手も年を取る。
役職も変わる。立場も変わる。
そこで見せている顔は、もはや以前の顔ではないのだろう。
私自身が以前の私を知る人が? と思う時もあるのだから、
自分の顔、仕事上の自分が望ましいと思っている顔を
失っているのかもしれない。


誰もがそんな風に生きていくのか、当たり前のこと。
階級社会ではないから余り意識していない職業上の壁。
役職上の上下関係。けれど、ふと意識せざるを得なくなる。
親しげに振舞うことのできない関係、水臭いと思っていても、
それはこちらだけが感じる感慨、相手からは迷惑な、
思い違いもはなはだしいかも知れない侘しさ。
自分だけの思い込みに、赤面せねばならなくなるくらいなら、
冷たく慇懃無礼に過ごすことも、ありなのかと思いながらも、
何かしら割り切れぬ思い、切ない夕暮れを辿る。

頭のいい人間関係「すぐできる」コツ (知的生きかた文庫)

頭のいい人間関係「すぐできる」コツ (知的生きかた文庫)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)