Festina Lente2

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花嫁が素顔になれるように

たまに別世界の人の話を聞く機会に恵まれる。
別に、どこぞのCMのように異星人と話すわけではないが、
普段会うことの無い世界の人、業界の話というわけ。
ビジネスマンだったら、異業種間交流とでも言うのだろうか。
まあ、そんな大げさなものではないのだが、
昨日会った人は、なかなか話し上手な女性だった。


それもそのはず、エステ業界の先生。
おまけにブライダルエステが専門。
ご本人いわく、一番関心があるのがリハビリメイク
綺麗な人が綺麗になるのは当たり前。
ところが「花嫁」は色んなストレスを抱える場合も多く、
「綺麗にしてさし上げる」のが難しいこともよくあるとか。
短い時間の中であれこれと、普段聞けない色んな話。
その中でも、忘れられないのが交通事故で顔に怪我をしていた人のケア。
顔に怪我を負った人の、ブライダルエステという名のケア。


そう、エステやメイクはケアに繋がる。
ブライダルエステは体全体のコンディションを見る。
顔だけではなく全身のお手入れをしないと、ドレスを着ることは出来ない。
爪も切り、形を整え、マニキュアを塗り・・・。
洋装和装に合わせて、その日のために髪も化粧も変える。
多種多彩な装飾品の数々、私の乏しい経験を振り返ってみても、
装いを凝らして「花嫁になる」ことは、なかなかの重労働だ。


体のお手入れ時もメイクを落とさない女性。
怪我の跡を見られなくないと、結婚相手の男性にも、
決して素顔を見せずにエステに来ているという人がいたそう。
結婚相手には、素顔を見せて生活するのが普通。
夫婦になるということは、他人行儀ではない現実的な世界。
(もっとも昔は男性より早く起きて素顔を見せないよう、
化粧をするのが女性のたしなみだったそうだが・・・)


漫画の世界のような美男美女の夢のような生活ではなく、
お互い見たくもない部分も見ざるをえない、
他人には見せない部分もお互い見せ合い分かち合い、
いろんな意味で相手を受け入れていく過程こそが、
結婚を前提としたお付き合いだと思うのだけれど、
それが出来ないまま結婚しようとしている女性。
・・・なかなか、しんどい。

感動ビジネスの軌跡―ブライダルプロデュース「最上の感動」サービスをめざして

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ブライダルコスチュームジュエリー (別冊太陽)

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ブライダルのお手入れと称する過程は、まさにカウンセリングと同じ。
あれやこれやと少しずつ話は弾むようになり、深い話も。
エステの世界を単純に美容の世界と思っていたが、
先生が仰るには「化粧は付け足すもの、エステは引くもの」とのこと。
普段のストレス、日常生活に覆い被さる様々なもの、
諸々の心身の鎧を取り外し、「裸にすること」がエステの目的なのだそう。
つまり余計なものを取り除いて、「美しい素顔、美しい裸」を取り戻す、
それが究極の目的なのだとか。


カウンセリングが弱った心の状態を癒して、ある一定の状態まで引き上げる、
戻すのに対して、コーチング・メンタルトレーニングは目的達成のためにある。
とすると、エステはカウンセリングで、メイクはコーチングやメントレ。
そんな風に考えるとわかりやすいかもしれない。
基礎と土台はエステで、メイクは目的に合わせた応用。
だから、着付けと同様、TPOにあわせて臨機応変に変えられないといけない。
でも、ボディは変化させることが出来ないわけだから、
ベストなコンディションの肌、髪、爪、そういうものを整えるエステは、
ある意味見えないお洒落であり、付け焼刃メイクとは格が違うことになる。


コーチングやメントレに当たるメイクは、なんとなく自己流、
なんとなく自分にあったやり方で、本格的なものは少ない。
一流の運動選手、勝負師、受験生、ビジネスマン、
全てに共通する強固な目的意識、上昇志向を持つ人間の行動を支えるもの。
考え方の枠組みと、戦略的な思考。
女性なら誰でもある意味、メイクと着付けは武装に近いことを知っている。
勝負服と女優顔メイクみたいなものだ。ブライダルも同様。
最近は一生に一度の花嫁姿どころか何度も勝負する時代だが、
女性にとってはとてつもなく「ハレ」の一日。
幾ら大事にしても足りないくらい。
装いは女の戦(いくさ)の一つの形であることは、昔から変わりない。


でも、そこで他人と戦っては駄目なの。敵を知る前に己を知れ。
本当の自分自身を知って、向かい合う勇気が必要になる。
そこで私の出番なのよ。半年以上も掛けて結婚式に向けて、
様々な話をしながらエステをして、メイクをして、
結婚式に備える。私が絶対この人を世界で一番素敵な花嫁にする、
でも、その前に、結婚相手の前でさえも素顔になれない人に、
すっぴんになる自信を付けてあげたいと思ったのと、その人は語った。


それは、人前でどもってしまうことを恐れて話さない人、
トラウマやフラッシュバックに苛まれて新しい毎日を作れない人、
過去の挫折や失敗を引きずり、囚われ過ぎている人。
自分の「今」が何処かで止まってしまった時の流れの為に歪んで、
自分を傷ついた壊れ物、無力で虚しい非力な存在と思い込んでいる、
そういう人が自分自身の力に気付くまでの、カウンセリングの過程と、
何と似ていることだろうと、ある意味、懐かしい話を聞くように、
その人の「仕事に掛ける思い」を聞いた。


世間の人は「花嫁」は精一杯飾り立てるものだと思っている。
特別な存在だから、特別に綺麗に仕立てるものだと。
けれども、花嫁のために一番大好きな人の前で素顔でいられる、
そんな存在を作るのがブライダルエステだと言われると、
何だかとても嬉しい。
毎日の生活は特別なことばかりが続くのではない。
けれども、素顔に自身が持てるからこそプラスαできる。
空虚な作り物の上に重ねて出来たものは脆い。


花嫁が自信を持って素顔を持てるように、エステ。
そんな風に考えたことが無かっただけに新鮮だった、今日の一期一会。
ぼろ隠し、疲れた顔隠し、ひたすら隠すことから始まる綺麗に、
本質的なメイクアップを求めることは、もとより不可能。
メイクを支える素顔が大事、何となくわかっているようで、
そういうことを考えずに過ごしてきたし、
エステやメイクなんて殆ど全く無縁の毎日。


・・・だからといって、殺伐と生きていくわけには、ね。
自分の素顔をどうせ年だからとお手入れもせずに、
老いに任せて放り出しっぱなしは良くないと、神様は思って
仕事場でこんな話を聞く機会を与えてくれたのかな?
仕事に意固地な私は老眼鏡を掛けて書類とにらめっこしても、
面倒くさがりゆえに、老眼鏡を掛けて化粧はしない。
自分の顔は余り見えてはいないがゆえに、まあいいかで終わってしまう。
・・・それではいけない、何事にも、というわけね。


心は素顔になれないけれど、心を素顔に出来るような、
そんな毎日が送れたら、送らないと、送りたいと、
自分で自分に願わなくては。
自分で自分に。

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