平凡な12日
いつもの家事に追われて一日が終わる。
布団を干し、掃除機を掛け、買い物に行き、食事を作る。
もって帰っていた仕事で片付けようか、せめて手をつけようかと
算段していたことはどんどん後回しになる。
いじましく時間があれば等と思って、持ち帰ってきた仕事は
さっぱりも手が付かないままもう、見るのも嫌になる。
昨日のお土産のラザニアを暖めて、娘と2人で食べる朝。
ほんの少し、ゆっくり出来るのも束の間。
娘は冬休みの講習のために公開テストだとか。
1日家にいると、食事を作るだけで時間が経っていく。
これを幸せと言うべきなのか、つつがなくと言うべきなのか。
年末を目の前にしながら、年賀状の準備もせぬまま、
訃報の葉書のみ間違いがあってはならないと控えてはいるが。
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昨日一昨日、久しぶりに文庫本で読んでみた田辺聖子。
『たのしきわが家』結構昔の本なのに、ここに描かれた家庭ドラマ、
自分にとっては、いかにもうなずける事ばかり。
団地族ではないけれど、両親が社宅一戸建てに住まうまでは、
団地に住んでいた。結婚後も偶然同じような団地に住んでいた。
社宅と言えば聞こえはいいが、リビングキッチンなんぞありはしない。
それでも住めば楽しき都、団地から始まる夢がある。
私も結婚後は小さな住まい。庭はなくとも1階に住んでいたので、
目の前の景色は借景と思えば腹も立たない。
次の引っ越し先も、マンションと言われればマンション、
団地と言われれば団地。社宅という名の集合住宅。
いつも電車の窓から見るマンションの窓は、色とりどりの照明。
カーテンをすかして見える電球色、蛍光色。
ゆるりと動く影もあり、窓越し筒抜けの景色あり、
薄い壁を間に隔てて、家族ドラマはあっちでもこっちでも展開。
ゾルとゲル。壁は細胞膜。そこで生まれては消えるドラマ。
細胞分裂するが如く育ち行く家族?
小説の舞台も団地なのでいっそう、思い重ねてあれこれ想像する。
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物語の世界は20代ならば少々判じ難いところもある、
いわば大人の世界の機微を通じて表現されているものの、
大阪人というもののものの感じ方考え方、
言葉遣い、中年の物思い、夫婦の在り方、団地族、
色んな角度から楽しめる内容なれど、
独身時代に読んで、はたしてこの醍醐味は味わい得たか?
実際分からんかったろうなあ・・・。
四半世紀以上昔の本でも、普遍的な人情は変わらないとしみじみ。
干した布団を取り込みながら、人の世の当たり前の年の瀬。
人の親としての当たり前の心配。
家人と電話で話せば、居間に炬燵を出したとのこと。
しなければならないこと、家の内外。
時間はあっという間に過ぎる。楽しければ楽しいほど。
明日からはいつも以上のきりきり舞いの忙しさが始まる。
嵐の前のひと時のような、今日の日曜。
あれこれと家の中を少しずつ片付けただけで
あっという間に終わる。全くもう。
出かけても出かけなくても、あっという間の1日。
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