Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

トロン・レガシー

水曜日レディスデー。周囲での評判は今ひとつだが
私には面白かった。完璧を求める人格化したプログラム。
最初は同志だったのに、敵になる。
うーむ、敵は己の内にあり。
自己矛盾は人間にとって当たり前でも、プログラムには苦しいかな。
おまけに、破壊か修正は出来ても新しいものを作ることは出来ない。
創造者になりえない自分を見つめつつ生きるのは・・・。


そしてプログラムたちがディスクゲームしている場面。
まるで、ローマのコロセウム。剣士たちが争う世界。
まるで『グラディエーター』じゃん
姿形は違えど、観客の前で最後の一人になるまで戦わせられる。
さすが欧米の映画だ、ゲームから生まれた世界だと納得。


ユーザーは血を流す存在なのに、プログラムは跡形もなく粉々に。
そして、この世界から抜け出られない父親はまるで老賢者のように
悟りつつ、諦めつつ、息子の行動に背中を押されつつ、
自分の作り上げた世界に「けり」をつける・・・。
始めたものが終わらせる、物語の鉄則。
魔法の呪文と同じ。唱えたものでなければ消せない呪いのように。

トロン [DVD]

トロン [DVD]

トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック

トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック



リメイクだというけれど、なかなか面白い映像だったし、
しんみりさせられるところも。
守っている存在が女性像だったのも、さもありなん。
主人公の父親は、リア王かプロスペローかという風情。
おまけに瞑想って・・・。
映画の中の本棚の本が余りにも面白い。
禅に仏教に、何故かジュール・ベルヌ


擬人化されたプログラムたちが酒を飲んだり衣装を着たり、
上下の別があって、結構身分社会だったのも面白かった。
ある意味、『マトリックス』を先に見ているから、
理解しやすい世界かも。
プログラムたちは逃げたり隠れたり、戦ったり・・・。
仮想世界をリアルに生きている・・・その感覚があったので、
まあ、『トロン』もそうなのかなと。


印象的なポスターの映像は、ラスト間際のシーンだったんだと、
最後まで見て理解。
それにしてもラストの脱出のシーンは長かった。
己が生み出したクルー、狂って暴走、人間の世界征服に走る。
あれ、洒落かい? クルーが狂って? いや正常過ぎて?
融通の利かない、バグを許せない、
予測不可能な変化を認められない。
プログラムって保守的な専制君主だったんだね。


自らが生み出した、そういう暴走プログラムを抱いて、
主人公の父親はクルーと合体、自爆。
そう、創造者は自分の創った世界に責任を持たなければならない。
予想された結末ではあったけれど、父親の愛が哀しい。
存在が哀しい。


行って戻ってくる、物語の基本で終わり。
ブックエンド方式できちんと閉じられていましたが、おまけ。
父親からのプレゼントというか、主人公は彼女をゲット。
ヒロインはいつも救われる存在なんだね・・・。
ゲームの世界から始まるんだから、当然の帰結か。
誰から誰かを救う。これがヒーローの存在意義だといわれたら、
そうかもしれない。


その後、忘年会。今年何度目だ? クリスマス会を含めて。 
久しぶりに日本酒を飲み、帰宅後即寝、夜中から早朝、
いつものように目覚めてPCに向かう。
あらー、まだ十分夜中だった?
ちょっと起きる時、地球の自転を感じた。(笑)

THE ART OF TRON:LEGACY ディズニー映画『トロン:レガシー』の世界 (ShoPro Books)

THE ART OF TRON:LEGACY ディズニー映画『トロン:レガシー』の世界 (ShoPro Books)

トロン:レガシー (映画文庫)

トロン:レガシー (映画文庫)