Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

五風荘でランチ

松の内が終わったとて、正月の気分が抜けぬ雪の日の翌日。
受験生には大変な2日間だが、世間を忘れて和風のランチタイム。
受付にはきれいな花が活けられ、
縁起物の飾りが室内のあちらこちらにあるのも、
この季節ならではの華やぎだ。


  


  


実は明るい中で五風荘を眺めることが出来たのは初めて。
前回、職場の宴会で来たのは雨の日の夜だったので、
有名な庭を散策といっても殆ど見ることはできなかった。
月夜ではあったのだが、雨上がりだったので。
その代わり、豪華な調度のある室内を見せて頂いたが。
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20100827



緑の季節であれば、花が裂いていればなおのこと、
美しいはずの五風荘、雪が降り積もっていれば季節の風情もひとしおだったのだろうが、
残念ながら、ひたすら寒いだけの今日。
年越しで色づいたた坪庭、中庭の紅葉が色味を添えて美しい。


  


昼下がりのランチタイムを避けて、遅めに来たので空いている。
予約すれば個室が取れるのだがサービス料金が掛かる。
ということで、お安めの大部屋でランチタイム。
まだ廊下側より奥まった場所なので暖房が効いているが、
お隣の席の人は景色は良く見えていても、寒そう。


   


せっかくだし、てっちり小鍋の付いているコースで、
家人の退院5周年を祝った。これは節目だ。
5年経ったから無罪放免というわけではないけれど、
節制し長生きすれば新しい薬品や治療法が出てくる、
治療に有利になるからと言われて、ここまで来た。
主治医は転勤・転院で、この春から変わることになるのが分かっている。
それでも、何かの折には心強い。


  


「冬来たりなば春遠からじ」で、毎日を送っていくほかない。
一時期の「覚悟」は、平穏無事に見える日常の中に埋もれて、
牙を抜かれた野獣のように腑抜けになっているのだが、
いつ何時、ぱっくりと陥穽となるか分からぬ。
そんな思いは常にささくれ立って、心の中にある。
そんな殺伐としたものを胸の内に常に飼っておかねばならぬのなら、
せめて、節目は節目で祝っておきたいものだ。
ささやかではあるが。



食後の庭園の散策は、寒い中にも風情があった。
本物の白鷺がとまっていた木の枝。
思わず作り物だろうと軽く思っていたら、
庭園を一周している間に飛び去ってしまっていた。
せっかく逃げずにいてくれたのに、もう少し近くで見るのだった。


  


2400坪を超える邸内と言われてもぴんと来ないが、
なるほど奥まった所に一つならず茶室もあり、
なかなかの瀟洒な佇まい。
静まり返った神社も池も春の桜の頃、秋の紅葉の頃は
どれ程の風情で客の目を楽しませるのかと、
想像しながら歩くのも楽しい枯れた冬の庭。


  


由緒ありげな塔も、戦国時代の名残を伝えるものらしい。
今年の大河ドラマにぴったりではないか。
痩せても枯れてもここは岸和田藩のお膝元、城を眺めて
(当時の城のままではないにしても)食事が出来る、
ここは江戸、明治、大正と、歴史を刻んだ名残を感じることが出来る場所。



岸和田というと、全国的にはひたすら荒くたい(勇壮ではあるが)
だんじり祭り」で知られているが、
皆様こちらに来ることがあれば、予約して、
ゆっくりお食事を楽しまれるのも一興。
小さな「お堀」に囲まれた城のたもと、
(ここにはだんじりの車輪が乾燥せぬよう
       沈められていると聞いたが本当かな)
凍える寒さを節目に託して過ごした午後。

季節風 冬 (文春文庫)

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