Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

舅姑の金婚式へ

娘の貴重な春休み、何もない一日を使って遠出。
自分たちの金婚式を見せられるとは限らない。
けじめである。きちんと出席して顔を出したという、
そういうことは経験させておきたい。


杖を付く家人と新大阪まで車へ。
普段歩かない場所の地上は不思議。
こんな記念碑を見つけた。横は地下鉄。
目の前は新幹線の駅。小学校は建設当時移転したのか、
戦争か何かで無くなってしまったのか。


思いのほか寒い。新幹線に乗るのは久しぶり。
東北と関東では大変なことになっているけれど、
切符売り場は九州新幹線の話題で一杯。
年末年始以外、滅多に行くことのない場所へ。
その庭には春を思わせる花が。


なぜか予約時間を過ぎているのに、なかなか出発しない。
到着は道が混んでいて更に遅れた。
せっかくのご馳走も、急かされては勿体無い。

  

    


そして、日帰りはきついけれど半日の滞在で帰阪。
ああ、男の子なら大喜びするだろう。この勇姿。

新大阪へ向かったときと同じ道を、駐車場へ戻る。
上を見上げると、心の中にも似た景色。



今日から杖だという。本当にステッキで大丈夫なのか。
医療用の杖ではなく、スーパーの1980円の折りたたみ式の杖で大丈夫なのか。
いつまで松葉杖を付いていたんだと言われたからといって、
本当にいきなり杖で大丈夫? だからと医者が言ったからとて
大腿骨を骨折した左足に体重を十分掛けられるわけじゃない。
かーちゃんは不安で仕方がない。
まだ杖に慣れていないというのに、一人で遠出。
元気になった姿を両親に見せて安心させたい、
という気持ちもあるのだろうが、これもなあ・・・。


自分一人で行くと言うが、それが何を意味しているのか、
わからない御仁だから困る。
妻にはなったが嫁にはならない私としても、
当たり前のお付き合いと立場というものがある。
遅くに結婚し幸いすぐに子供に恵まれたといっても、
不惑に授かった娘に親の金婚式を祝って貰う機会があるとは思っていない。
だからこそ、こういう行事があるのだと娘に見せておきたい。
知っておいて貰いたいと思う、かーちゃんの立場や気持ちを考慮することなく、
自分だけで行って来るよと言うとーちゃんに溜め息をつく。


体のことばかりじゃないんだよ。自分の親の金婚式だって、
連れ合いの親の金婚式だって、祝い事は何だって同じ。
なのに、けじめや節目については何の相談もなく、
少し常識をずれた所で、独断。
自主独立していると思えばいいが、それでもなあ・・・。
犬も食わない何とやらにまで盛り上げる気はさらさら無いが、
もう少し、一声掛けてくるタイミングというか、
話の持って行きようは無いものか。


同僚は50年目がだめでも25年目があるじゃないと笑う。
でも、その時、娘はまだ学生かもしれない。
私たちは元気でいられるか?
元気でいる約束をしているものの、何だかなあ。
金でも銀でもなく、鍍金のような自分自身の在り方に、
生活に、溜め息を付きながら。


娘と口にするキオスクの飴は甘い。