Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

南方熊楠記念館と千畳敷

さて、本来の日付であれば旅の2日目の記録を書くところですが、
1日では書ききれなかったので、今日は昨日の白浜水族館の続きの日記を。
(仕事と体調でき時のアップが遅れていますが、お許し下さい)

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水族館を出て、グラスボートや遊覧船、スキューバダイビングの講習を横目に、
海岸線に沿って道なりに緩やかに上り坂、その行き止まりが南方熊楠記念館
かーちゃんが是非訪れたいと思っていたここは、南国の雰囲気を感じさせる植物に囲まれていて
さすが南紀白浜と称される土地柄、植生が異国情緒。


  

  


杖を突いて上るのが楽なほどの急な坂道の上に建つ記念館。
何故(なにゆえ)にこんな山のというか、海沿いの崖の上に? 
実はかつての番所跡。下は断崖絶壁では? と思える場所なのに?
異国からの船の上陸を防ぐための場所ゆえに、見晴らしの良い場所。
日本人離れしたスケールで物事を見ていた彼にはある意味ぴったりの、
海風に吹く気持ちのよい高台に記念館は建っている。
後から知ったのだが、足の悪い人用に車で上っていくルートもあったが、
気付かずにえっちらおっちらと上っていった私たちだった。


    


1929年(昭和4年)熊楠の最も晴れがましい日、昭和天皇にご進講。
田辺湾沖合いの神島(かしま)に訪問の際、粘菌や海中生物について御前講義。
最後に粘菌標本をキャラメルの箱に入れて天皇に献上した。
1962年、昭和天皇は33年ぶりに和歌山を訪れ、神島を見て歌を詠む。
「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」。
環境保護の先駆けと言われる彼、後々までも天皇に記憶されていた。


  


私は小学校の頃、南方熊楠という奇才、偉人の名を知らなかった。
大阪には面白い地名があって、西中島南方(にしなかじまみなみかた)という駅がある。
だから初めて彼の名前を見た時、「みなかた」ではなく、「みなみかた」と読むのだと思っていた。
そして、楠とは木偏に南と書くので、随分凝ったペンネームだと思っていたら、
本名だと知ってびっくりしたのを覚えている。


 


さて、家に本が無く、貸して貰うこともままならぬ本を読んで覚え、
家で思い出して全巻書き写したという逸話が名高い。
博覧強記の記憶力の神童の誉れ高い彼が、大英博物館で勉学に励んだのは知っていたが、
サーカス団に紛れ込んで旅を続けながら、様々な標本を採取していたとは知らなかった。
記念館は小さいながら、熊楠について短時間に概要を知ることができるよう配慮されていて、
米倉斉加年のナレーターのビデオ画像も見応えがある)
アットホームな雰囲気に溢れていた。その素敵な入場チケットがこれ。
色違いなのは大人用と小学生用が異なるから。なかなかセンスのいいデザイン。


 

  


明治天皇と学問上のお付き合い。孫文から贈られた帽子、
粘菌の研究、顕微鏡写真、様々な研究書、写真、デスマスクなど、
観ていて飽きなかった。大々的な博物館と同じくらい見応えがある。
小さいながら、1人の偉大な研究者の足跡を辿ることが出来る記念館。
ここは、屋上からの見晴らしがいいので評判の場所なのだが、
あいにくの黄砂で、四国を臨むことは叶わなかった。
でも、この螺旋階段の眺めは気に入った。
先ほどの京都大学水族館を見下ろすことは出来たのだけれど。
それにしても、あんな所で釣りをしていて大丈夫なの?
まるで波にさらわれそうなのだけれど・・・。


 


気を取り直して、今夜の宿へ向かう。ドライブの途中で写真休憩。
白浜観光で有名な円月島を眺めながら、夕日鑑賞。
海辺育ちの私はすぐに遊びたくなるけれど、娘は濡れたり滑ったりするのを怖がる。
これくらいどうってこと無いのになぁ・・・。
眺めているだけで、磯遊びしたいと思わないのかしらん?


  



さて、食事で選んだ格安は表こそ立派だが、建て増し改装のせいなのか
修学旅行の宿のように入り組んでいて、露天風呂まで果てしなく遠くて辟易。
リゾートホテルとはいかないが、超リーズナブルなお値段が魅力。
小さなお子様連れにはありがたい幼児は無料のバイキング料理。
その夕食前の腹ごなしに頑張って海岸へ。
何しろせっかく来た千畳敷の夕暮れを見なければ・・・。


  

   


千畳敷とは畳千畳分の広さがあるから。当たり前といえば当たり前だが、
松林に海岸、有名な名所旧跡の類の割に裏寂れた感じがする。
以前、といっても四半世紀以上も昔の、私がまだ義務教育を受けていた頃、
ここを訪れた時の印象とはかなり異なる。といってもあやふやな記憶のせいか、
観光地として整備された結果なのか、どちらが正しいのかわからないが。
情けないほど彫り刻まれた落書きの多さのせいかもしれない。
いくら波に浸食された岩肌が脆いとはいえ。


  


浴衣姿で千畳敷を眺める人もいるが、さすがに風が強くて肌寒くなってきた。
今宵は久しぶりに露天風呂に上げ膳据え膳、寛ぎましょうか。
さて、バイキング以外に特典として付いていたお料理はこれ!


満腹満腹超満足。部屋はともかく食事は庶民には十分。
その後、食休みして娘に付き合わされ卓球1時間。
かーちゃんの年齢も考えてくれよ・・・。
再び温泉(内風呂)につかり、真夜中過ぎに就寝する羽目に。 
ちなみに海の側らしく塩辛いナトリウム泉なのに、
硫黄の香りのするお湯でした。

南方熊楠の森

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南紀・白浜 熊野古道 (タビハナ)

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