パレードは動く舞台

せっかく滅多に来ない場所に来たのだから、仕事がてら色んな乗り物に試す。
昔、むち打ちの後遺症がひどかった頃に比べたら、多少スピード感のあるものでも、
何とか乗れるのはわかったが、余り気分の良いものではない。
両手離してキャーキャー言いながらジェットコースターに乗るなんて芸当は、
若くて三半規管が超正常で、背骨も頸椎も丈夫で、胃腸がタフな、
おまけに骨盤底筋が衰えていない人間向き。
乗り物のスピード感と色彩、ぎょっとするタイミングによっては、
心臓の悪い人もお勧めできない。しばし休憩。
1日の日が長くなって待ち遠しいこと。
何がって、それはもう、パレード。パレードですよ。
ということで、本日は昨夜のUSJのパレードをご紹介。

お金を払えば見易い場所に入れるらしいけれど、まあ、一人なので身軽。
拙い経験を生かして、スタート地点から最初のカーブに陣取る。
その方が、正面、横、後ろ姿と全ての角度で眺められるから。
そして、様々な衣装に身を包んだスタッフの光り輝く様子が、何とも魅惑的。
小さな子どもを驚かせるには十分な仕掛け、舞台装置。ライブ。

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間近に見るとそれなりに迫力。どんな仕掛けなのかぴかぴか光る衣装にカツラ。
そう、高く結いあがった髪にカツラが光る仕掛けを知りたい。
マリーアントワネットの髪型じゃあるまいし、だけれど、
物語や童話の世界、非現実的な空間は大がかりな演出がよく似合う。
やるからには徹底的にデフォルメ、巨大化、ゴージャス、美麗、非日常。

ここでは地盤沈下著しい被害が出た地域の施設と、同じキャラクターを使うことは出来ない。
だから映画の世界とは関係ないキャラクターも沢山使われている。
でも、その昼間活躍したキャラクターを少々伏せて、夜のパレードは進む。
いったい何をテーマにこれだけの大がかりな行列の題材を仕込んでくるのか。
百鬼夜行というわけにはいかないし・・・。

そう、現代の百鬼夜行は人に見られてはならぬものではなく、
人に大いに見られなくてはいけない。わざわざ夜の闇を切り裂いて、
明るく目映く光り輝く装いで練り歩くからには、恐れられ怖がられる存在ではなく、
喜ばれ受け入れられる存在でなくてはならない。
異形であるにもかかわらず、大手を振って行き来する存在でなくてはならない。

街道筋のスタッフが安全点検怠らず、人々が押し寄せぬよう警戒する中を、
巨大な電飾張りぼてキャラクター、豪華絢爛発光ダイオードの群れは、
夜光虫の、玉虫色の、白熱灯の、孔雀石の、カレイドスコープの輝き。
見る者の心を異次元に飛ばし、忌むべき闇があってこその光を強調する。
決められた道を辿りつつも、笑みを絶やさずポーズをとる摩訶不思議な世界の住人達。

その仮装は何のため？　その装いは誰のため？　着飾り踊りながら歩く、ステップを踏む、
手押し車でゆっくりと、きらびやかな軌跡を残して残像がちらつくような、
そんな世界が瞬きを何度しても消えずに延々と続く、その豪華なファンタジーの
テーマはどこに隠れている？　キーワードは？　このパレードの枠組みは？

そんなことを考えていると、おやあの妖精のおばあさんが。
そしてカボチャの馬車が。みんなが大好きなシンデレラストーリーが、
お城での舞踏会がこのパレードを締めくくるよう。
みんなで出かけよう、集おう、お城のパーティに。
そういうことね？

電気の力でもってして、蝋燭のシャンデリアの雰囲気を演出する滑稽さはさておき、
次第に色彩が、色数が少なくなり、終わりとさようならをイメージさせる雰囲気。
だってどんなに楽しくても、もっともっと遊びたくても終わりがある。
舞踏会の12時の鐘が鳴ったら、魔法が解けてしまうように。
「終わり」がやってくる。夢の世界は、いつまでも続かない。