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『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』

昨日、家族3人で見ることが定番になっている、シリーズものの一つ。
パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』を見た。
前評判が今一つだったが、見終わった娘は満足しているよう。
私たちは3Dで観ることができない家人のために、2Dで鑑賞。
眼鏡を掛けずに見る方が体にとっては楽。
立体的に飛び出すのがそんなに楽しいのか? 
あれは目も疲れるし、肩も凝る。


さて、ジョニー・デップがこの役をしてから10年だというと、
娘は目を丸くする。11歳しか生きていない娘にとっては、10年は長い。
しかし、私の年齢ぐらいになってしまうと、
10年ひと昔をざっと俯瞰するのは、何ということもない作業だ。
特別の長生きするほどでなくてもそうなのだから、
私よりも年上の人は、もっと軽々と長いスパンを一瞬のうちに想起、
振り返って比較検証することができるのだろう、などと頭の中で思う。


そう、第一作を見た時は、まだ前の職場だった。
君はまだ保育園、平仮名がようやっと読めるか読めないか。
字を覚えるのが早くて、びっくりさせられたっけ。
映画館で上映された映画、自宅鑑賞のビデオやDVDではなく、
封切り後すぐの映画を恐らく小学校の誰よりも見ているかも。


それも、ポケモンドラえもん
コナンやクレヨンしんちゃんのシリーズではなく、
大人の見るような映画を沢山。お蔭で君は、親の影響を色々受けて、
いっぱしの批判もするようにはなったのだが、今回は今回で、
シリーズものでも「楽しめる」映画だったから納得、なんだそう。


一癖も二癖もある海賊に美人の女海賊、美しくも可憐な人食い人魚に
世間知らずの宣教師のおまけつきで、「生命の泉」探し。
おまけにカソリックのスペインが噛んできて「聖杯伝説」と来れば、
西洋的物語・宗教のアイコン、エピソードの背景、盛り沢山。
何でも寄せ集めれば、どうにか物語になるだろう的展開。


別に主人公がジョニー・デップではなくてもいいような気もするが、
柳の下に何匹もの泥鰌を狙う映画業界としては、ドル箱を逃すはずもなく。
個人的には、ジョニーが老けて来ているのが気になって気になって仕方がない。
色んな作品に出演するも、毎回白塗りメイク? と思うほど。
とにかく仮装やメイクが派手で、素顔が隠れている役柄が多い。


俳優は若い顔から年齢を重ねていく時の、
微妙な役柄の変化が「おいしい」ところではある。
そんな風に思えるのは、自分が彼より年上のせい?
年を取って色んな俳優、役者を見てきているから?
経年変化、それもまた良し、味わいがあると思える年になったか。
彼の場合は、そういう変化がなかなか作品の中に見出せない。
スクリーンでも、若い頃から余りに素顔を見る機会が少なく。


望まれた役柄のキャラクターになるのは、仕事柄仕方ない。
しかし、実年齢を反映させた作品が見たいものだと考えてしまうのは、
映画ファンとしては、違反切符か?

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉 (竹書房文庫)

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉 (竹書房文庫)

そういう意味では、若返る、他人の寿命を貰う。
そんな「生命の泉」伝説を海賊ものに絡ませるというのは、
宝探しが定番のこの手の話にはうってつけなのかも。
西洋版「養老の滝」は、世界を相手に万人向けの憧れなのかもしれない。


銀幕と言うのも古めかしい現代においても、俳優を生業とするには、
商売道具の自分自身の身の丈、面の皮画若さを失うのは辛かろう。
自分が望む以上に、メディアの要求以上に、
ある一定の水準をもって、必要以上に老けさせたくはないだろうから。


それにしても、海賊版インディ・ジョーンズ』のような構図、
不思議な親子関係。魔法や呪い、ゾンビやボトルシップ。
続編への手掛かかり足掛かりを山ほど残して、終わるやり方。
(クレジットの最後まで見た人はきがついていますよね)
To Be Continued を印象付ける方法。


柳の下に何匹も泥鰌を狙う映画業界に迎合しない、いい作品が見たい。
そう感じているのは私だけでしょうか、海賊デップ。
いい加減、顔を洗って出直してきません?
映画の中では、髪型も雰囲気もそっくりにして、息子に似せた父親が出てくる。
当然製作当初は出番の無かった父親を造形するに当たり、
最初に作った主人公に似せて作ったはずの父親像。


そうではなくて、父があってこその息子。
年老いたからこそ重ねられる経験、深まる洞察、練られる知恵、
そういうものを自然に身に着けた等身大の演技を見るまで、
見ることが出来るまで、そんな素顔丸出しで老けたジョニーの姿を
スクリーンで見るまで「長生き」しなければなりますまいて。


人魚も聖杯も何のその。毎日を足腰の痛みも感じず、
目もしょぼつかず、心萎えず生きていくことなど夢のまた夢。
限られた当たり前の人生こそが、目に見えぬ荒波をかぶる日々。
心躍りわくわくすることが少ないように見える、
思いのほか耐え忍ぶことのみ多き日々。
笑ってごまかしようも無いけれど、笑うしかない。
泣くよりも笑った方が、と思いつつ嘆息の多い日々。
けれども、起きて動いて食べて眠ってを繰り返す日々。


そんな底力を必要とする、瞬発力だけではやっていけない日々こそ、
「生命の泉」に通じる「試練」てんこもり。
そう実感したかーちゃんでございますよ。

Pirates of the Caribbean 4: On Stranger Tides

Pirates of the Caribbean 4: On Stranger Tides