Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ふなずし・なれずし体験

食べることが大好き。
のんびりしたい休日だって家族のために頑張って用意し
朝ご飯だってきちんと全員(親子3人)で食べる。
でも、忙しいと平日は手抜き朝食で出かけることも。
しかし今日はちょっと勝手が違う用事が出来て、
土曜だというのに朝寝どころか、日焼け止めだけはしっかり塗って、
6時半には集合場所へ。早起きは辛くないけれど、食事抜きは辛い。
仕事関連で普段は滅多に出かけない所に出向き、(健康的でした)
午後から電車を乗り継いで引き返して、家族と合流。
家人と娘合作の冷麺にありついた後、本日のメインイベントはこれ!



少し知的にサイエンスカフェに初参加。テーマは「ふなずしあれこれ」。
というわけで、一見発酵のお勉強。(興味のある人はこちらへも)
実は、食いしんぼ家族の知的好奇心を満足させようという魂胆。
でも、専門の先生の分かり易くビジュアルな映像と楽しいお話に、
あっという間に時間は過ぎて、試食タイムとなった。
さて、皆さんは「ふなずし」もしくは「なれずし」はご存じ?
最近は地元滋賀、琵琶湖周辺でも若い世代は口にしないそう。


  


元々長期保存食とハレの祭りの日のご馳走であったために、
この時代に手間暇掛けて作り、行事の日に食べるという生活様式が崩れ、
上の世代、大人達が意識して食育、地元の歴史を背景にした食材や料理を、
次世代に伝えていく心構えや決心がないと、廃れてしまいそうな伝統食。
けれども、説明を聞くとなかなか栄養学的にも優れ、
発酵食品の例に漏れず、胃腸にも良い影響。
健康ブームの時代に見直すべき、先祖伝来の地産地消の郷土料理、伝統食。


    


臭いチーズも何のその、美味しいものには目がない私たち。
(さすがにくさやの干物は苦手ではあるが)
目の前に出された二種類のなれずしは、お酒にもご飯にも合う優れもの。
本当に堪能させて頂きました。娘もおっかなびっくり、興味津々。
ちなみに、卵を持つ雌の方が切って並べた時に美しいので、
見栄えの面からもお高いよう。雄は安く手に入るとか。


雑談の中で、希望者を募って来年は仕込みの時期を狙い、
真夏の「ふなずし作り体験ツアー」をしようという話まで。
実に楽しみです。ふふふ。
ご飯もお酒も美味しい年末に向けて、自分で手作り鮒寿司体験。
来年も転勤がなければ、親子3人ふなずし作りだー!


  


むろん、このなれ鮨は鮒のみならず、色んな魚でも出来る。
琵琶湖周辺だからといって、川魚、淡水魚でなければ出来ないものではない。
しかし、調理法を聞くと大量の塩を必要とするから、保存食の常として、
まず、昔の人は十分な塩を手に入れることが出来たかどうかが先決、
そして、ふんだんに取れる魚、自然の恵みを如何に保存するか。
更に、晴れの日のご馳走としてのコメの変容。


    


大学時代にかじった民俗学の知識を持ってすれば、
神様へのお供え、共に食べるご馳走は、特別の食べ物。
普段と同じものであってはならない。ハレの日にふさわしく、非日常的な形態・色彩を要する。
故に、コメは餅・赤飯・粽等に姿を変える必要がある。
素材そのままでは畏敬の対象となりにくいのか。神饌としての資格、
食そのものの神格化、いわゆるグレードアップが必要らしい。
とにもかくにも、ご馳走というものはそういうものなのだろう。
あちらこちら走り回って調達する特別なもの。


    


貴重な塩と米をふんだんに用いて、地元の恵みの魚を料理する「なれずし」。
説明に上げられた魚の名前は普段聞いたことがないものも多く、
調理前と仕込み後、食べる直前の状態、ビフォーアフターが見たいと思った。
また、発酵のお勉強ということでアジア圏の発酵食品あれこれ、
なれ鮨のようにそのまま食べるのではなく、油で揚げたりと、
その国の調理法を見たり聞いたりする楽しい時間となった。


  


それにしても、糖分と温度が関係する発酵。
熱帯では日本では考えられない程の短時間で、あっという間に発酵してしまうらしい。
かつて自家製ヨーグルトを作っていた時もそうだった。夏は1日で出来たのに、
冬場はなかなか作ることが出来ず、自然に発酵を待っていると食事に間に合わない。
逆に夏は急いで食べないとどんどん発酵が進んで悪くなる。


    


このなれずしの酢酸、酸っぱさは滅菌減菌効果も高く、食中毒も無い。
古人の生活の知恵は大したものだと思う。
少々のことではお腹を壊さないタフさも兼ねてはいただろうが、
実験で明らかになったその殺菌力。さすがだなあとデータを見て感激。
生きた知恵、食生活が人間の健康を守って来たのだと思うと。


興味のある方はこちらも少し覗いてみて下さい。
web版図書館報でこんな記事も楽しいですよね。
探してみるとやっぱりネットの世界は便利。 
講師の先生の研究に関するものではこちらなどを。



勉強の後の会場のイタリア料理店での夕ご飯も楽しかった。
知的好奇心も胃袋も満足の1日でした。

魚醤とナレズシの研究―モンスーン・アジアの食事文化

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