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トンイとイサン

トンイとイサン。いきなりカタカナで書くと何のことやら。
遅れてやってくるマイブームは韓国歴史ドラマ。
日本で言うならば、NHKの日曜日の晩の大河ドラマのようなものか。
以前、『チャングムの誓い』にはまっているのよと言う友人に、
何を言っているのかわからず、『冬のソナタ』に至っては、
現代版『君の名は』じゃあるまいしと思いつつ、
世間でブームが終わりかけた頃に気になって見ることは見た。


『イ・サン』も再放送で見てみると、あっさりハマってしまった。
とっつきが遅く、フットワークの悪い私が今回は違う。
リアルタイムに見ている、イ・ビョンフン監督の最新作『トンイ』。
そして、気が付いた時には後半3分の1となっていた『イ・サン』を、
今回は最初から再放送で楽しんでいる。


日曜の深夜、もしくは月曜の晩は、録画した韓国ドラマを堪能する日。
ブルーマンデー。この所、週の初めは大体こんな感じ。
きらびやかな民族衣装が美しい韓国宮廷歴史ドラマに浸っている。
遅れてやって来たマイブームを支えるブルーレイ録画。
娘は流行のアニメ『ぬらりひょんの孫』「銀魂』などを録画し楽しみ、
親は権謀術数渦巻く韓国の宮廷ドラマに入れ込んでいる。
親が親なら子も子なので、娘にきつく出られない。


恋愛ドラマに熱中する年ではない親と、まだまだそこまでは行かぬ娘。
リア充を諦めた年代の親と、非リア充を楽しむ娘。
お互いの利害が一致しているせいか、今のところ無難に録画が成り立ち、
チャンネルの奪い合いには至っていない。
お陰で、老眼を理由にめっきり読書量が減った親は、
遅めの帰宅と夕食とも夜食とも付かぬ食事を、TVに子守されて過ごす。
それが週の初め。最近は夜更かしよりも早起きの方が楽。
パソコンさえも、一眠りして目の疲れが取れた早朝の方が楽。


というか、最近パソコンの前でも老眼鏡を掛けるようになってしまった。
だから、日本語吹き換え韓国ドラマをのんびり楽しむ。
字幕でも構わないのだが、目が楽なのはやはり吹き替え版。
娘も、イ・サンのおじいちゃんがトンイの息子だということをわかっていて、
時々一緒に録画を見ている今日この頃だ。


王に生まれたからとて贅沢三昧に幸せに生きて死ねるわけではない。
美しく聡明に生まれたからとて、愛され恵まれた人生を送れるわけでもない。
そんな人生の不条理をドラマに見ていると、ほっとする。

韓国ドラマ・ガイド トンイ 前編 (教養・文化シリーズ)

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韓国ドラマ・ガイド イ・サン 特別編 (教養・文化シリーズ)

韓国ドラマ・ガイド イ・サン 特別編 (教養・文化シリーズ)


子供の頃は、とりわけ若い頃は世間を知らないので、
どうしてこんな理不尽なことが許されていいのだ、世の中はどうなっている、
こんなことがあってはならないと怒り心頭、
フィクションだろうがノンフィクションだろうが、かっかとしたのだが、
今は、物事がすんなり行く方がおかしく、揚げ足を取られ裏で画策され、
何を言われているのかわからぬ疑心暗鬼に陥ってこそ、世の中。


悔し涙に暮れ徒労感に苛まれ、すれ違い行き違い、誤解や恨みを買い、
痛くもない腹を探られ、それでも立ち止まることは出来ずに苛立ち、
磨り減っていく毎日こそが当たり前だと思えるような年齢になったので、
なかなか悲惨な状況にある主人公たちに対して、
「さもあろうなあ、生まれついた星の差こそあれ、
こればかりは致し方ないなあ」などと独りごちて、ドラマに没頭。


ハラハラドキドキも、友情や恋愛も、嫉妬や策謀も、
遠い世界のことだから安心して見ていられる。
現代に生きる自分の世界に直接結びついてしまうのは困る。
それでも、思い当たることや思い出すこと、
戒めや参考にしたいことは多々あり、時代が異なっても、
国が違っても変わらぬものは変わらぬなあと嘆息。
色んな意味で共感できるところ、見所のツボが多様なのが、
少々年を取ってドラマを見ているからかもしれない。
若い人はきっと異なる見方をするだろうから。


というわけで、週明け「また仕事か」と思いがちな自分を励まし、
さあ、何とかしなければと思わせてくれるのは、
「非リア充」から「リア充」へのエネルギー転換。
いや、変換? CMの入らない、思考や感動を中断しない、
一気に見るドラマにささやかな爽快感さえ覚えている自分の単純さが、
少々愛おしくなる、7月最後の月曜の夜。

韓国ドラマ「イ・サン」公式学習ムック 名シーン名セリフ100 上 (語学シリーズ)

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