Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

北浜レトロとミュシャと与謝野晶子

昨日は胃カメラでめげて、昼食を採った後、しっかりと気分転換することに決めた。
打たれ弱い私がどうやって立ち直ったか、ご紹介。
「女子と小人は養い難し」と笑われてしまいそうだが、食べ物が一番。
次に散歩や買い物、お茶に、美術館・博物館巡り。
なので、昨日ランチ後、(ランチだけでは立ち直れなかった)
午後は気を取り直して夏休み休暇に振り替え。
せっかく大阪市内まで来たので、知り合いのギャラリーに顔を出し世間話。
その後、近所の登録有形文化財で、初訪問の北浜レトロへ。


    
  


昨年暮れにスタンプラリーを兼ねてあちらこちら、大大阪を忍ばせる
昔の建築を巡り歩いた時に、ここはいつかはと思っていた建物。
建築的なレポートはこちらのブログ記事(大阪モダン建築図鑑)に詳しい。
寂れていたビルは、今は人気のティールーム、北浜レトロとして復活。
こちらのカフェレポートを参照してね。


      


ということで、コーヒーよりも紅茶党の私は、検診後の気分を引きずらぬよう、
非日常的なお茶を楽しむことに決めた。
店に足を踏み入れたとたん、確かに別世界。目を奪われる。
あの外見にして、この内装! 凝りに凝った世界が展開。


     


2階に上がって、広い相席に陣取り、周囲のテーブル、窓を眺める。
夏休みだからやって来た家族連れ、異国からの女子会風のお客人、恋人達、
女友達、私に要に一人でお茶を楽しむ人、様々な人物ウオッチングも兼ねて、
いつか娘や家人と来ることを想像しながら、アフタヌーンテータイム。
注文した品物は、1階からミニエレベーターで上がってくる。


      


お茶はオリエンタル・エクスプレス、夏季限定のサマープディングを所望。
いとも美しきぴかぴかに磨き上げられたポットと、茶器の白い肌、
そして、赤いベリー類の詰まった本格的サマープディング
甘酸っぱくぎっしり詰まった様々なベリー、食パンを使うとは思えない外見、
エキゾチックな香りと味の紅茶、お湯が足せるので3杯以上は飲める。
ローカロリーで満腹感のある、英国式のティータイムを堪能。


      


娘と待ち合わせの時間まで1時間となった。
彼女が見たがっていた、ミュシャの絵を見せるつもり。
帰りがけ、もう一踏ん張り。これまた雰囲気のあるお手洗い、
階段付近、商品の数々を眺めて、お土産を買い、出発。
お名残惜しい北浜レトロ。家族とまた来るからね。


      


外に出ると、まだ日は高く辺りは熱気を感じるものの15時。
お店は明日から夏休み。いいタイミングで入れた。
実はここ、証券取引所の道路一本隔てた向かい。
再びミニトリップはきついけれど、娘とミニデート、これは当初の予定。
お茶そのものは、歩きたくない、電車にすぐに乗りたくない私の休憩タイム。
検診を忘れたいための、目にも胃袋にも贅沢な時間。


          


ピックアップした娘と与謝野晶子文芸館へ。
娘が見たがっていたのは、アルフォンス・ミュシャなのだが、ここは知る人ぞ知る、
堺が誇る美術館。4階がミュシャ、3階が与謝野晶子の展示。
文芸館はは9月11日まで企画「晶子さんのお宅拝見」も見せたかったのだ。
女性としてのタフさは、生物学的にも精神的にもとてもとても及ばぬ、
情熱的な恋愛、肝っ玉母さん、大家族の大黒柱、短歌に社会活動、
その余りにもエネルギッシュな生き方に、驚かされるばかりの与謝野晶子



学校で習った歌人のイメージよりも、ただただ自分に正直な生き方、
がむしゃらに時代の先端を生きた女性という姿の方が強くなる。
歌も詠んだかもしれないが、生活をするという点、
生活力という点では、どうにもこうにもたくましい。
そのマイホームを中心に、企画展示。
文学的な側面を字面からだけではなく、こういう面からも掘り起こす。
最近の展示の仕方は、工夫されていて面白い。



ミュシャの方は以前見た内容と殆ど変わらず。
かつてアールヌーボーは非情に憧れた世界だし、今も好きだが、
その旗手として持てはやされた彼の若かりし頃よりも、
祖国に戻ってからの活躍の方が、今は胸に残る芸術家。
2度訪れたプラハ聖ヴィート大聖堂ステンドグラスを、
彼の祖国を思う活動、祖国の解放を見ぬまま没した晩年、
そういう背景を思うと、華やかなアールヌーボーの画風の向こうに、
透けていく様々なものを感じてしまう。


薄闇迫る頃、駅向こうに長尾街道なるものを発見。
古代の街道が、ひょいと町中に現れる。
レトロな気分は道までも昔のものに巡り会う機会を与えてくれたのか。
歩いてみるものだね、知らない駅もと娘と夕食を共にし帰宅。
痛い胃カメラの記憶は何とか払拭されたよう。
そんな昨日の出来事。

みだれ髪 (新潮文庫)

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アルフォンス・ミュシャ波乱の生涯と芸術

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