Festina Lente2

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月曜の午後の出張で

8月も残す所、10日を切った。
何となく宿題が出来ていない子どものように心許なく思う。
仕事は日常として厳然とそこにある。やってもやってもなくならない。
それどころか増える一方のような気もする。
適当にやっていれば消えてしまう、というものではないから仕事。
日々の仕事なのだが、生活の糧を稼ぐためとはいえ、
これが日常から消えてしまった後の生活を、どう想像すればいいのだろうか。


以前はもっと早く打てていたはずのキーが、どんどん打てなくなる。
文書を作る速度も、読む速度も落ちてきている。
はづきレンズを掛けて拡大鏡の力を借りないと、
快適な眼前の文書空間が確保できない。
パソコンで一時的に文書画面を大きくしても、
それはそれでいっとき見易いだけで、全体像を見直す時、
またあたふたとしたり、レイアウトに思い悩む時もしばしば。


最も困るのは、今まで当たり前のように書けていた文章が、
頭から出てこず、なかなか考えや意見がまとまらないこと。
それは、自分自身の中できちんと消化されていないからかもしれない。
上滑りの解釈に、あるべき必要最低事項、内容が把握されていない、
単にそれだけなのかもしれないが、致命的なことだ。


必要最低限の時間で、出来るだけいいものを作成したい。
通り一遍ならず、前例となるもの、規範となるもの、
再利用できるもの、発展可能なもの、一編の文書なれども、
利用価値や存在価値の高いものを作っておきたい、等と、
思えば思うほど、空回りしてしまう。
機械的に文書を作成するのは、情けないことに苦手だ。


午前中の仕事を終え、出張先に出向く。
暑い、余りにも暑い、地下鉄から出てきた人間に降り注ぐ、
まだまだ真夏の力を充分に蓄えた陽光に目眩がする。
そして、出張先に向かう都会のビルを見上げるまなざしの向こう、
ただただ青い空と白い雲。
そんな真下でウロウロしている自分。
外聞もなく流行遅れの帽子をかぶり、日差しを避ける。


官庁街、都会の真ん中、どうしてこんな所にいるのだろう。
仕事部屋に向かうと、ぎっしりと人の列。
ああ、この大部屋の一室で過ごす半日。
まるで離人症にでもなったように、そこに座り、画像と音声、
説明と議論、休憩を挟んで・・・。
一体ここにいるのは自分なのかどうかわからないような、
そんな感覚の中で、座っている。すると・・・。

さすがと言わせる文書の書き方―ビジネス文書・季節の手紙・eメール文例満載!

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ロジカル・ライティング

ロジカル・ライティング

声を掛けられた。私は彼女の顔を覚えているが、
名前を覚えていない。確か結婚して、名前は変わったはずだ。
それにしても、年を取った。
ふっくらとした美人さんで、料理が得意で、グルメで、
如才なく、仕事もばりばりしている、そんな彼女は畑違いなので、
ここで会うとは夢にも思わず・・・。
もう、15年ぶりぐらいだから年を取って当たり前か。
彼女も、自分も。


声を掛けられた。自分が一体何者かわからないような、
そんな錯覚に囚われながらぼーっと仕事をこなしている、
淡々とと言えば聞こえはいいが、通り一遍で頭に入ることでもなく、
かといって全く知らないことでもなく、
だからといってきちんと内容吟味、把握出来ていることではない案件。
そういうものをつらつら眺めては聞き、聞いては眺めの時間。


声を掛けられた。15年ぶりに逢った人。
よくもまあ、私を見つけて声を掛けてくれたものだと感謝した。
昔々、一緒に学んだ夜の勉強会。ワークショップ。
それぞれの悩みを抱えつつ、過ごしたあの頃。
よくも、忘れられずにいたものだと。
彼女はいつものように、予定があるからまたねと去っていった。


声を掛けられた。なんとまあ、転勤していった人に。
彼女もここに来ていたの? 今日、この内容に?
この出張にこんなに人が来ているとは思いもよらなかったのだけれど、
でも、彼女が興味関心を持つのはわかる。
その案件で悩んだことのある人ならば、一度は耳に入れておきたいと思うもの。
みんな家族や家庭持ち。忙しい中職場と出張先を行ったり来たり。
余りにも暑い、余りにも暑い月曜の午後。


もはや、夕方とは思えないアスファルトからの照り返し。
すぐに地下鉄におり、右に左に分かれていく私たち。
仕事をする仲間、同志。
かつて共に学んだ仲間、同志。
家庭を持ち、家族を持つ、友人を持ち、自分を持つ。
そんな人に声を掛けられた午後。

「ほめない子育て」で子どもは伸びる

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