Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

洗濯物を干しながら 

関東では30度を超した地域もあった、この神無月半ば。
あり得ない蒸し暑さ。
4回も洗濯機を回し、掃除洗濯に明け暮れる。
何しろ、雨が続いたのと先週連休最終日、
ダウンして掃除が出来なかったのと、
洗濯物が雨で乾かず昨日も濡れて帰り、
思いのほか溜まってしまったので。


私は洗濯物をたたむのは嫌いだが、干すのは好きだ。
干す位置を考えながら、一つ一つぶら下げていく。
満艦飾という言葉は嫌いではない。
お日様の匂い、日向臭い乾き具合が好きだ。
柔軟剤の人工的な香りではなく、自然な香り、
殆ど洗剤の匂いが残らないような、香りが。
そして、ざっくりした手触りが。


ふわふわの仕上がりというものも、嫌ではないが、
何となくそれも抵抗を感じることがある。
古くて傷んでいるものが、使いこなして着慣れて柔らかい、
そんな、すり切れる直前の肌触りの良さが好ましい。
無理矢理毎回柔軟剤でふんわりにする必要が、どこにあるのか。
毛羽だってざらざらしている、そういう感触を肌に覚えさせず、
常に柔らかく当たりよく保つことが、それほど大切か?
そんなふうに思ってしまう。


人の心が嫌なこと、つまらないこと、苛立たしいこと、
様々な荒波に揉まれて疲れ果て、毛羽立つようにささくれて、
人としての心の柔らかさを失っていくのは良くない、とは思う。
しかし、荒れていく心、荒れざるを得ない心、
それでもなお荒れてしまってもなお、そこから、
揉みしだかれてしなって柔らかくなっていくように、
いい意味でなよやかになっていくように変化していきたい。

いい言葉は、いい人生をつくる (成美文庫)

いい言葉は、いい人生をつくる (成美文庫)


それが理想。そういい心持ちに成長していきたい。
痛めつけられた、辛い思いをした、哀しいことを経験した、
だからこそ、ふんわりと暖かいものを、そこはかとなく隠し持つ。
とげとげした思い、ささくれだった思いを経験せずに、
いつも「パレアナ症候群」で前向きになることは出来ない。
嫌なことは嫌だし、辛いことは辛い。


嫌なことも辛いことも知っていてなお、人に当たらずにいられるほど、
強くありたい、強くなりたい。そんな気持ちにさせてくれる、
嵐のような雨の日の翌日、お日様を浴びながら洗濯物を干す心持ち。
明けない夜はない、太陽の出ない日は続かない。
湿った土の匂いのする庭で、目に見えない立ち上る蒸気に燻されるように、
自分の心のすすが、洗い流されていくように感じるのが不思議。
細かい霧の中に解けていくように思えるのが不思議。


ずっとずっと、一つのものに囚われないようにしようと、
執着しないようにしようと、本気にならないで逃げてきた、
そんな自分の中にも、やはり太陽に向かって伸びていきたい、
植物のような向日性の心持ちがまだまだあったかと、
改めて気付かされるような、休日の朝、
洗濯機は回り続け、洗濯物の竿は増えていく。


BGMはイエス。“The Best of YES”
高校時代に聞いた懐かしいサウンドは、自分を前向きにしてくれる。
HEART OF SUNRISE、STARSHIP TROOPER、
CLOSE TO THE EDGE、AND YOU AND I、
ROUND ABOUT、GOING FOR THE ONE、
どれもこれも懐かしい曲ばかり。
若かったあの頃を思い出させてくれる。


雨の上がった休日の朝の洗濯は、楽しい。
お日様を仰ぎながら、こざっぱりとした気持ちになれるのが嬉しい。
残暑といってもいいくらいの日差しの中で、
自分の体を動かせる、しあわせ。

Wonderous Stories-the Best of Yes

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Close to the Edge

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