Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

娘に伝えるものは? 

懐かしい料理 サツマイモのレモン煮を久しぶりに見た。
そう、サツマイモの美味しい季節となった。

いつも覗く大好きなブログの一つ、
お料理の参考にしている(といってもそう真似はできない)
ばーさんがじーさんに作る食卓」で懐かしい記事を見た。
向田邦子のお料理本、私も当時すぐに真似して作った「サツマイモのレモン煮」の記事だ。
あの当時本を買っておけば良かったのに、図書館で見たんだったっけ?
後から買ったんだっけ?


向田邦子は料理が得意だった。(洋裁も得意だったそうだ)
仕事柄出会った芸能人にもちょっとした料理を教えたりして、
というそんなエピソードをエッセイで読んだことがある。
脚本家としての彼女を残念ながら余り知らない。
NHKドラマになった作品以外、見たことがないからだ。
エッセイや小説をを読むようになって、憧れの存在になった。


頭のいい人は時間の使い方が上手。
てきぱきと動くことが出来る。賢い人は料理も上手い。
手早く美味しいものを作ることが出来る。
家庭科は、特に台所は火と水を使う。
時間の扱いも大事。同時進行が出来ないと行けない。
台所仕事は科学と算数だと随分母親に叱られたものだが、
いまだこの年になっても、それが出来るようになっているとは思えない。


さて、妹の和子さんが開いていた店、
「ままや」にも応援に駆けつけることもあったという向田邦子
就職後、そこがどんな場所か知りたくて飲みに行ったことがある。
出張ついで、たった一人で店に入るのは勇気が必要だった。
けれど、「向田家の味」、その「おもてなしの妙」があるのだと、
料理本の中にあるメニューを見つけて頼んだ。


一人で黙々と食べて飲んでいる私に、和子さんは声を掛けてくれた。
でもどんな言葉を書けて貰ったのか、何を話したのか覚えていない。
あの頃の私はどこまでも一人だった。
どこにでも一人で出かけていった。
誰かと飲みに行くことはなかった。
出張は、一人ではしごするのが常だった。
大阪にいても東京に行っても。

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の恋文 (新潮文庫)

向田邦子の恋文 (新潮文庫)


そんな私には今、小学校6年生の娘がいる。
修学旅行のお土産を貰った。
「昨年楽しんだレオマワールドよりも広かったけれど、
 アトラクションが少ない。一つ一つの規模がでかくて」だそう。
道に迷う程広いと言いながらも、それなりに楽しんできたよう。
でも、パレードは見られなかった。残念。
その前に、帰りのバスに乗ってしまったと。


お土産は、模造真珠の頭の付いた松阪木綿の地味な服を着た、
「さるぼぼ」の形のストラップ。ひもはピンク。
親子3人お揃いで、みんな違う藍染めの服を着ている。
ピアノの先生にも買ってきたのだそう。


親の私たちの年齢が年齢だから、こんな渋い土産物?
いや、形はとてもかわいいけれど、藍染めの野良着を着たような、
昔懐かしい風情を漂わせている野を見ると、何とも言えない。
一度も見せたことはないはずだが、私の生まれて初めての小銭入れも、
こういう渋い藍染めの縞柄の小さながま口で、
どこでどうなって、こんな妙な所で好みが似たのだか。
それとも単に、親の年齢を考えてた気遣い?


かつて、亡き向田邦子の思い出を妹さんに求めに、
その手料理の一品に求めに行ったように、
娘も自分の感性を、何かしらの好みを受け継いでいるのだろうか。
娘に料理の味やその他諸々、伝わっているのだろうか。
そんなことをふと考えたりした、今日。
自分の誕生日から半年経った。


向田邦子の年齢を超えてしまった。
たった一つ、その年齢を超えた私には、
6年生の娘がいる。そのことが、年齢以外に超えたこと?
なんて言ったら、大げさか。
それぐらい、お土産を買って貰って嬉しい私は、親ばか。

向田邦子 その美と暮らし (和樂ムック)

向田邦子 その美と暮らし (和樂ムック)

<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ

<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ