Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

「M・I ゴースト・プロトコル」と「ワイルド7」

年末に見た映画から、忘れない内に雑感を記しておく。
この1月に映画の話題が集中するのを許して欲しい。
何しろ、生まれて始めて映画のフリーパスを手にしたのだ。
といっても僅かこの1ヶ月間だけのことなのだが。
そのポイントを稼ぐために見たいもの、余り見たくないものも、
せっせと通って見たこの年末。12月31日を以って今までのポイントが
消えてしまうとあっては、無駄には出来ない。
せこいおばさんと笑われても、レイトショーで稼いだポイント。
晦日その日にパスを手に入れた。


でも、年末一番面白かったのは何といっても、お正月定番作品。
『M・I ゴースト・プロトコル』これは家人と二人で鑑賞。
安心してみていられるこのシリーズ、家人が肩入れしているのは、
スタントも使わずに頑張るトム・クルーズが同い年だからだ。
どの場面を見ても、え? おっ? ひぇー、ひゃあ、こわー。
ドキドキハラハラの連続で、笑える場面もあることはあるが、
現実もこういう世界なのか、それとももっとえぐいのか、
いや、あくまでも演出と心得ていいのか、本当はどうなんだろう、
スパイの世界!? と深く考える時間もなく、ただただ没頭。


いながらにして世界を旅することが出来るアクション映画。
主人公たちの行動範囲もさることながら、風光明媚な名所を散りばめ、
飽きることない背景作りに余念がない作りが嬉しい。
個人的には30年ほど前に旅したロシアの景色が見られ、
新婚旅行の思い出の地として懐かしいブダペストの地を望み、
まだ見ぬ砂漠の地、ドバイの超高層ビルからの風景を楽しむことができ、
大いに満足。映画って本当に束の間の海外旅行。


そして、子供の遊び心、冒険心をくすぐるスパイグッズ。
使いでのあるもの、どう見ても怪しげなもの、
現実にはなくてもあって欲しいもの、実際使えそうなもの、
SFの世界ではなく実用品としてあってもおかしくないものから、
諜報活動ならではの小物? そういう品物が見え隠れしているところが面白い。
今回は恋愛沙汰は前面に出ていなかったけれど、
個人プレーではなくチームワークがより必要になってきたのは、
年齢的な面での限界が否応なく影響しているような気もする。


運動神経の鈍い自分としては、豪快なアクションはともかく、
ラストで妻を見守る彼の優しさに癒されれば、それで十分なのだが、
ただただそこに、ほっとしている小市民的な自分自身にも、
納得して、更に安心しているという構造に陥っている。
映画の中の世界だけで、わくわく出来るって幸せなこと。
これが日常の写し、反転、類似だったら、たまらないからね。


このスリルとサスペンス、アクションと比べて、
どうしようもなく良さを見つけられずに、寝てしまった映画
『タンタンの冒険』。これって、本当に外国ではとても受ける作品?
やっぱり単に子供向けアニメの延長だからと思っていいのか。
日本人の感性には少々だるいのではないかと思われる展開。
いつも外国のアニメは原作を知っていてさえも、?と
思わされることが多い。今回もその定番となった。
画像の処理自体は丁寧で工夫されていると思うのだが、
のんびり過ぎるというか、迫力がないというか、
ストーリーはともかくとして、テレビの宣伝ほど
アニメの面白さが生かされていないような気がしてならない。


意外に面白かったのは『ワイルド7』実写版。
言わずと知れた望月三起也原作のハードボイルドアクション。
中学から高校に掛けて心酔し、全巻持っている自分としては
今更映画の実写版を見てもなあと思ったけれど、ポイント稼ぎ。
年末に見て、まあ、これはこれでいいんじゃないの、このご時世。
そんな気持ちにさせられた。メンバーの名前も原作と違うし、
主人公の飛葉に至っては、人物像がかなり異なるけれど、
まあ、許しちゃろ。そんな思いで見るおばさんファン。

ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

ワイルド7愛蔵版 全12巻セット

ワイルド7愛蔵版 全12巻セット


一つは原作へのオマージュ。一つは主役を務めた瑛太
昨年思いもがけない形で父親を失って、どんな思いでいるのだろうと、
そんなことを考えながら、スタントを使わず演技に没頭した彼のことを
思いやったりしてみたので。
隊長の草波を演じた中井貴一はイメージ的に良かった。
それにしても、全員が撮影前に自動二輪の大型免許を取得って、
今でこそ大型バイクで飛ばす人間も減っただけに、
なんとなくしみじみしてしまった自分が怖い。


キレたり暴れたりやさぐれたり、そういう風に「道を踏み外して」
親に反抗することの出来なかった自分にとっては、
暴力の嵐が吹きまくる漫画のページは、気分爽快なものだった。
物語が色んな意味での代理戦争のようなもので、
今の子供たちのようにゲームで遊んだりしない分、
読書は漫画であろうがなかろうが、十分アクティブな発散となり得た。


ワイルド7』のお陰で、当時はバイクにも拳銃にも詳しかった。
ハーレーダビッドソン等を見かけると、胸がわくわくとしたものだ。
女の子はバイクだなんてとんでもないと教育された世代だが、
勤める頃には「足をそろえて乗れるバイク」ラッタッタが一世を風靡。
機動力は小柄でかわいい原動機つき自転車によって、
飛躍的に距離を伸ばし、資金面で乏しい連中はこぞってミニバイクで暴走。
そんな時代が懐かしい。今でもそういうことしている輩はいるのだろうか。


映画は漫画の原作と余りにも違うけれど、何故野郎ばかりの集団に紅一点か、
その辺りはなるほどねという結末、オチを作ってくれている。
一番まともで政府の中枢にいる奴が、周囲の人間を人間とも思わない、
思い上がった筋金入りのワルだという点でも、なかなか興味深い。
二つの映画はその製作規模や、世界的な知名度=俳優の格、キャリアからすれば、
とんでもなく差があるのだけれど、日本のアクション映画も頑張ってるじゃんという
気持ちにさせてくれたので、まあよし。


それにしても若いっていいねえ。
トム・クルーズは自分に近いとはいっても、年下。
どの俳優も自分より若い人が殆どだと思うと、愕然とする。
憧れの世界にはいつも自分よりも年上ばかりがいるように思っていたのに。
アクションものではこれから確実に年下しか出てこないんだなあ、きっと。
迫力もドキドキ感も、その質と量、格段に違いはあるけれど、
それなりに納得して見られたという点では同じということにしておこう。

ワイルド7 (小学館文庫)

ワイルド7 (小学館文庫)

ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)

ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)