夕闇の伏見稲荷
娘の大好きな漫画『ぬらりひょんの孫』には、
伏見稲荷をモデルにした話がある。
観光名所なので写真でも見ているが、行ったことはない。
帰りに寄ってみようと足を伸ばして電車に乗ると、あろう事か、
徳島時代の知り合いに声を掛けられた。これもお稲荷様の御利益?
お参りする前から?
大きなお稲荷様は、全国の狐が集まってくるのだろうか。
駅からしてキツネの模様が沢山。
しかし、夕暮れが迫る中、どの土産物屋も店じまい支度。
その中を、人の流れと逆行して辿り着いた伏見稲荷は、雰囲気満点。
美しい観光ポスターの趣とは異なり、不気味さ一杯。
朱塗りの鳥居は壮絶なおどろおどろさを醸し出している。
それに、伏見稲荷のこの鳥居は延々山の奥というか、頂上まで続いていて、
お参りをするといっても、本殿から離れて奥の院までは相当ありそう。
2時間は掛かるって本当? それはハイキングコース並み。
漫画に出ていたおもかる石、坂道、振り返るのも怖い闇が押し寄せてくる。
奇特な人もいるもので、同じように歩いている人もいるが、
みんな途中で諦めて戻ってくる。それもそう、今から山の上の鳥居が尽きる所まで、
登っていくなんて余りにも無謀。昼間、明るい時にリベンジを果たそうと、
私たちも、ある程度まで登って、朱塗りの鳥居の道から離れることに。
神聖な場所は元々人を寄せ付けない力と、人を魅了する力が拮抗している。
逢魔が時を過ぎた今、こんな場所にいるのは危険なことなのだろう。
お稲荷様は明るい時にもう一度しっかり拝んで、鳥居の道を上り詰めることにしよう。
時間も気力も体力も無く、お稲荷さんで有名なお店で晩ご飯を仕入れて帰宅。
お酒で始まり、お稲荷さんで終わる1日。
久しぶりの伏見。次は伏見稲荷メインで来よう。