Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

綿業会館 その2

綿業会館の目玉、最も有名な部屋。3階の談話室の夜は薄暗い。
最も今日のテーマは夜景だからと言い訳しても、
私の拙いデジカメ映像が延々と続き申し訳ない。
財閥でもない民間人が、先見の明をもってして注ぎ込んだ150万円、
現在額にして75億円とも言われるこの建物、
調度一つ取ってもお金の掛け方、豪華さが違う。
フランス風にしたのではなくイギリス風のジャコビアン様式にこだわったのは、
東洋のマンチェスターと言われた大大阪を支える業界ゆえ?
内外装の細部に至るまでのどっしりとしたデザイン、
冷暖房や井戸水による冷風送気設備、ワイヤー入り耐火窓ガラス、
最先端の設備の導入が戦災からこの建物を守り、その堅牢さを今に伝えている。
「最高」を求めた造作は、投資した分しっかり歴史の生き証人となった。
(写真は全て大きくなります)


    

    

  


白いレースカバーが外国映画のワンシーンを思わせる調度。
説明を受ける私たちはタイムスリップをしたような気持ち。
豪華なシャンデリアと壁に飾られた歴代の肖像画
そして、ひときわ目を引く奥の壁一面のタイルタペストリー。
京都泉涌寺の窯場で焼かせたという特注飾りタイルの壁は圧巻。
唐三彩を連想させる色使い。


    

    

    

  


そして、その前にさりげなく飾られた綿の花が飾られた花瓶と写真。
絨毯の模様一つ取っても、スタンドやカーテン、通風口に窓、
更に上へ続く階段の優美なデザイン、どれもこれも昭和初期のステキが盛り沢山。
上流階級の蘊蓄、選ばれた人々の集う場所の気品に溢れている。
談話室での会話は、政治か経済か。はたまたプライベートか。


          


肖像写真は白黒の方が持ちが良く、カラーは今一つなのだが。
肖像画を描いて貰う、それはそれでなかなか持ち味が出ていいか。
そんなことをぼんやり考えながら、限られた時間部屋のあちらこちら、
昔の電話に電気スタンド燭台、あれこれと眺めて写真を撮る。
どっかりとソファに腰を鎮めて、「撮って撮って」と自分を写すなど、
気恥ずかしくておこがましくて、とても出来ない。
分不相応もいい所。


        


そしてこの華奢な手すりを登っていったのは、華やかなドレス姿の淑女ではなく、
背広にネクタイ、はたまたパイプを咥えた紳士だったか。
私が幼い頃、老父が若くバリバリと活躍した時代の上司たちは、
ここに集っていたのではなかったか。そんなことを考えたり・・・。
妄想とも憧れともつかぬ思いが行き交う。


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