Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

星空トークと業平橋駅と

休日出勤。
精神的に人に会うのが辛いので、仕事はとても疲れる。
仕事をこなすことだけに専念。
ひたすら仕事をして待ち合わせの場所、大阪市立科学館へ。


  


夜、以前から申し込んでおいた企画、
プラネタリウムを見ながら大坂町人の話、町人学者とでもいうのか、
当時の学問を支えた、江戸時代の天文学者の話を聞く。
例によってナカノシマ大学の企画だが、今回は娘も一緒に3人で。
卒業式の昨日の今日だが、プラネタリウムにほっとしてうとうと。


  


西洋の星座のみならず、中国の星座を見たり、朗読を聞いたり・・・。
いずれにせよ、疲れた体にフランス製の椅子が心地よく、
子守歌のような綺麗な声の朗読を聞いているうちに居眠りすること数度。
(周囲からつつかれたり蹴られたりすることも数度)



江戸時代の大坂は、世界に誇れる科学者たちが集まるサイエンス・シティだった。
そんなふうに紹介されると、やっぱり少しワクワクしてしまう。
当時の大坂、町人科学者たちが自由に学問を楽しみ、
天文学・電気・医学の分野で日本をリード。
緒方洪庵福沢諭吉の活躍は、こうした大阪科学100年の集大成なのだそう。
私が知っているのは手塚治虫の『日だまりの樹』の世界だけだが。


  


本日紹介された町人学者・間重富の伝記『星空に魅せられた男』と、
『天游―蘭学の架け橋となった男』の作者まで登場、
娘にねだられて本を買ってあげてしまったかーちゃん・・・。
場所が場所だけに金環日食Tシャツまで買ってしまったのだけれど、
著者のサインを貰うのも忘れなかった・・・。


  


今日のお話は激務の後のため、睡眠剤代わり。
話の内容のおさらいは、本を読んですることにしよう。

星空に魅せられた男 間重富 (くもんの児童文学)

星空に魅せられた男 間重富 (くもんの児童文学)

天游―蘭学の架け橋となった男 (くもんの児童文学)

天游―蘭学の架け橋となった男 (くもんの児童文学)


人工の夜空を堪能した後、親子3人で歩く街はほんの少し小雨。
宵闇に浮かぶ、1年後にオープンするフェスティバルホールの外観。
大阪の街もどんどん変わっていくけれど、東京だってそう。
転勤ですっかり離れてしまった関東の地。
たった4年ほどの生活が、それこそ綺羅の思い出。
娘が保育園の頃の愛らしい時期と重なり、家族の至福の時代。
病も知らず、ただただ毎日が娘の成長だけを見守り、
自分たちも健康で生きていけるのだと信じていた日々を思い出す。


家人と娘は社宅へ、私は両親の実家へと別れ別れに戻る夜。
1日の仕事を終えてのイベント。家族で集うのもいいが、
こういう生活をいつまでも続けてはいられない。
自分は休日もなく過ごしているのに・・・と理不尽な思いに駆られる。


帰宅して夕刊を見ると、かつて利用していた東武伊勢崎線業平橋駅が、
東京スカイツリー駅」になる記事。心寂しいこと限りない。
転勤当初、「伊勢物語の主人公にちなんだ名前の駅があるとは、
ゆかしいことよ」といたみ入ったのは数年前のことなのに、
もうその地の名称は変わって失われてしまうとは。


文学部も潰れ、日本文学科など顧みるものもなく、国語教師も減り、
母語どころか、文化の背景にあるものがどんどん消え去り、
殺伐とした気分。平成の大合併とかいう心ない政策のために、
訳のわからない名前の町や市が出来て、それまでの由緒正しい地名はどこへやら。
括弧付けで昔の駅名を残しておけばいいのに、ああ、残念業平橋駅。


新幹線の「300系」も昨日で引退、「日本海」も引退。
古き良き日本という言葉をしみじみと思う自分がいる。
かつての「明治は遠くなりにけり」ではないが、本当にそうだ。
「昭和は遠くなりにけり」を実感。

花橘の乱―在原業平異聞

花橘の乱―在原業平異聞