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ケータイを手に『鉄の女の涙』へ

仕事も今までの生活も、そしてブログさえも書く気にならない。
別に取り立てて新しいことをしたいわけではないが、
家人のポイントがたまっていて、無料でケータイを手にすることになった。
TVも観られるらしいが見方がわからない。
ケータイでTVを見るような生活をしたくもない。
数ヶ月は? 25分までなら無料で会話が出来るらしい。
今の私の生活ならば、まず、超えて使うことはないだろう。


世間の人はなぜあんなにケータイ中毒になっているのかわからない。
パソコンのメールを打ちなれた身には、ケータイのメールなぞ、
まだるっこしいこと限りなしで、本当に緊急ならば電話で話せば?と
苛々だけが募る。見るのを忘れれば、ケータイだろうがパソコンだろうが、
メールに気づかないまま、どんどん時間は過ぎる。
緊急性が無いなら、余計な通話など不必要。
 

そう、メールは殆どパソコンでまかなえる。
そんな私が、カメラも電話もメールも出来る、
そんなケータイを手にするとは世も末かも。
いよいよ生活そのものの基盤が危なくなってきたかな。
ケータイを手にし、映画館へ。
たまったポイントを使って無料で映画鑑賞。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』見応えはあったが、
館内はガラガラ。こういう題材は日本人好みではない?
字幕は戸田奈津子。一流どころだが、もはや鼻についてきた?


手にしたケータイはスマホ全盛期を前にして、もはや時代遅れ。
それでも私が手にする最新危機、いや、最新機器。
こんなものに頼らずに生活するのが一番。
同様に、サッチャー女史が生きているというのに、
この内容の映画は・・・なかなか渋すぎてきつい。
認知症を患う親を持つ身なれば、その人の余りにも激しすぎる半生を、
こういうエンディングで見るのはとても辛い。


そう、親世代にいつも守られてきた。
昭和一桁世代の、戦争に踏みにじられた思春期と、
我が祖父母世代を戦争で失った日本の歴史のはざま、
もはや戦後ではないという高度経済成長期に育って、
いつもいつも一番苦労した世代に乳母日傘で守ってもらい、
自分の世代は何をした、何を残した、成し遂げたのか、
さっぱりもわからない。


戦争を目の当たりにしたことも無ければ、回避したことも無い。
危機管理を最も迫られている世代のはずが、権利や権力は、
いま少し上の世代に握られたまま、発言権や実行能力を欠いたまま、
使い捨ての兵隊でしかない年のとり方をしてきているような、
そんな気ばかりが募ってきている今、「鉄の女」の半生は、
見ごたえがあるというよりも、痛ましい。


こんな風に人は戦って生き抜いて、老いていかなければならないのか。
戦わずに生きることも、生き抜くことも、老いることも許されないのか。
平和を、国を、ありとあらゆるものを守る立場に立って、
決断を迫られる日々、政治の世界の駆け引き、影の内閣とのせめぎあい。
女性であることをある時は否定し、ある時は有利なものにし、
バランスをとりながら、議会を、政策を、手繰り寄せる日々。

マーガレット・サッチャー―鉄の女の涙 (リンダブックス)

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『クレイマー・クレイマー』で離婚に悩む青ざめた母親だった人が、
マディソン郡の橋』でクリント・イーストウッドと共演、
『ミュージック・オブ・ハート』は恋愛路線から一変、
『巡り合う時間たち』では、何やら近づきがたい存在、
プラダを着た悪魔』の女上司には唖然とさせられ、
『マンマミーア』では字けるかーちゃんを演じていた。


マディソン郡の橋 特別版 [DVD]

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この映画のインタビューで、スタントを遣わずにベッドの上で飛び跳ねた
エピソードを披露すると同時に、加齢と共に出演作が減っていく
ハリウッドの現状の中で、どのように俳優でありたいかを語っていた。
その彼女が、恋愛でも、どきどきときめく熱い物語とは違う、
情熱と栄光と挫折の老いた英国元首相を演じる。
自分自身の老いをさらに進化させた形で、実在の人物を演じきる。



私は何をすることで自分自身の人生に有効なポイントをためているのか、
ふと立ち止まって考える。
若い俳優、女優には決して演じきることができない役柄を、
自らの演技力を持って制するメリル・ストリープ
平凡な一個人は自分の生活の中で、自分にしか演じきれない人生を、
仕事を、毎日の日々を本当に過ごせているのか、
哀しい思いで振り返る。


めぐりあう時間たち [DVD]

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私はどんな風に老いて行くのか。
年を重ねたいのか、人と繋がり別れていくのか。
何を成し、成すことなく消えていくのか。
鉄の女でも涙は流す、無駄に、無為に。
流す涙の意味はあるのか、ふと考える。
「毎日戦ってきた」と叫ぶように言った、台詞がこだまする。


時代遅れになっている自分の仕事のスタイルを思い返す時、
いつまで果敢に取り組んで、自分らしさを失わずにいられるものか。
哀しい思いで振り返らざるを得ない。
考え込まざるを得ない。これからできることを探して。

ミュージック・オブ・ハート [DVD]

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マンマ・ミーア!

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