夏至の日
今日が夏至の日だということをすっかり忘れていた。
天気もそれほど良くもなく、
太陽がすっきり見えている感じでもなく、
そういえば今日は昼が長いんだったなと思った時には、
とっくに日没が過ぎ・・・。
大体、お日様の顔見て帰宅なんて普段からありえないし。
今日が誕生日から丁度2ヶ月後だってことを忘れていた。
ということは、1ヶ月後が家人の誕生日。
今年は引っ越しに紛れてしまいそう。
向こうに行ったら中華街でお食事でもしたいな。
引っ越し先の近所ではそこぐらいしか知らない。
それとも元居た草加に戻るのかな?
1年で一番長い昼間、そんなことさえ意識せずに毎日仕事。
気が付けば毎日サービス残業の嵐。
何だかあれもこれもと思っているうち、
どんどん帰れなくなる毎日。
帰りたくないのか?
本当は帰るのが嫌なのか。
自分が使いやすい台所ではない家。
自分が眠りたいベッドではない家。
自分が使いたい部屋ではない家。
なかなか思い通りに手が入れられないのは、
本当の意味で? ある意味自分の家とは言いきれない家。
家を自分の思うとおりにデザインできるのは、引っ越しがチャンス。
でもこれが、自分のための引っ越しではなく、
必要な広さが保障される引っ越しでもなく、
守るべき暖炉の火もない、ささやかな台所が拠り所。
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夏至の日。一段と影が長くなるこの日。
明るい家に家に帰れる気分がしない、そんな毎日。
ずっと心の奥に燃えているのは、太陽ではなくて、
夏至祭りの焚き火の炎。
ベルティンの祭り、恋人達が手を繋いで飛び越える焚き火。
白夜の夜、天使が降りて来る。
子どもの頃に読んだ童話の、火祭り、焚き火、夏至祭り。
そういうものがずっと心の奥の暗闇の中で燃えている。
あれはトペリウスの童話? それともストリンドベリ?
今日は夏至だったって、だけど日常生活の中では、
祭りもなく、焚き火も無く、火も燃えず。
時は水無月、梅雨の頃。
家人がこっちにいるのもあと2週間余り。
気ぜわしさだけがくすぶる心の中。
何もしなくても疲れていく気持ち。
夏至祭りに燃やしてしまいたい、日常のあれこれ。
幻の焚き火は心の中。
なかなか熾火(おきび)になってはくれない。
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