短冊もなく

カレンダーの予定通りとはいえ、仕事でどっと書類の山。
見ているだけで溜め息が出る。
しかし、見ているだけでは片付かない。
勢い引っ越し仕事を控えて常にも増して、
ブルドーザーのごとき勢いでこなさなければならない。

寄る年波というと大袈裟だが、老眼には過酷な作業だ。
集中力も途切れ勝ち、このところ積もり積もった疲労が、
処理速度にブレーキを掛ける。
忙しいときにどうしてこうも忙しいことが重なるのか。
マーフィの法則だっけ、こういうの？

そんなこと自問自答しながら、夜、はっと気づく。
ああ、今年は七夕の用意何もしてなかった。
明日になれば一夜飾りになってしまう。
とうとう、娘が中学一年生の今年、我が家には笹飾りなし、
七夕飾りなしが成立してしまった。

娘にはもう願い事を書く短冊は渡せない。
私も書く気にはなれない。
笹を取りに行くこともできず、（すぐ裏山だが）
飾りを書く気力もなく（折り紙はあるが）
忙しさに追われて、華やかで哀しい七夕伝説を味わう余裕もなく、
7月最初の1週間が駆け抜けていく。

必要最低限、それが、どこまでの範囲なのか。
仕事と家庭、父親と母親、親と子供、男と女、
どこまでの関係が、許されて、また許されないのか。
行事、しきたり、縁起担ぎ、まじない、気は心の世界。
信じる者は救われる。
しかし、今日、今は何を信じて？

願い事を書く気力もない、七夕の前。
七夕という行事さえも忘れてしまった我が家。
七夕当日に引っ越しを迎える我が家。
明日が、とーちゃんの家で過ごす最後の日。

たなばたものがたり (行事の由来えほん)

仙台七夕まつり 七夕七彩(たなばたななさい)