閉まらない

自分のものではなく渡すもの、書類、お土産、仕事の資料、
なんて重い鞄なんだろう、このトランク。
海外に出かけるのに、出発からこんな重いトランク。
出しては詰め、不安から足し、寒さ対策、
それにしても、荷造りが下手なのは今に始まったことではない。
前日に眠れないのは今に始まったことではない。
遠足の日の前、修学旅行の前、なかなか寝付けず眠れず、
定期テストの日は尚更、一夜漬けのせいもあるけれど、
数学のテストの前日は金縛りになる始末。

しかし、今度の出張に関しては緊張感がない。
変な開き直り。
どうにでもなるさ。
それなりに用意もしてみたけれど、限界がある。
その道のプロでも何でもないんだし。
心のどこかで思っている。
「どうにかなる」

おいおい、本当に大丈夫か？　自問自答。
何だか荷造りがいい加減な割に落ち着いているね。
要らなかったら捨てよう、でも足りなかったら困る。
いつもその方針で余計なものを持ち込んでしまう癖。
どこでも買える､いつでも買えるの安心感がない異国。
そう思ってしまうから尚更。
自分専用の足もつてもないしね。

随分持っていく気、いや、これは必需品。
これは予備、これは･･･。
リスト多すぎ。
ほら、閉まらない！　この体重を載せても閉まらない。
絶対20キロ超えてる、このトランク。
あれこれ出す、出してしまう。
なかなか閉まらない。これでまた、すったもんだ。
閉まるまですったもんだ。

このトランクって本当に自分に似てる。
詰め込みすぎで閉まらない。
欲張りすぎで閉まらない。
整理整頓が出来てなくて閉まらない。
旅の身支度は本当に自分自身そのもの。

暮らしのアイデア帖 トラベル編

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