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旧千代田生命ビル見学 入口と階段

(写真は全て大きくなります)

連休中一番印象に残った記事をまとめてアップしよう。
何と言っても連休前半、久しぶりに家族で過ごした関東での休日、
その最終日、千代田生命ビルの見学ツアーが一番だ。
元々連休の計画は、この企画を見つけたことから予約を入れ、
娘が興味関心を持っていた大神社展、そして間に鎌倉見学という、
コンパクトな? 予定で詰まっていたのだが、
一番全貌が見えていない故に楽しみだったのが、この目黒区美術館主催の建築ツアー。



そして、この見学ツアーの迫力と感動が10日経った今も消えない。
その日のメモも、細かい部分を書き留められぬままだが、
思い出せるだけでも少しずつアップしておきたい。



村野藤吾の設計した旧千代田生命ビルの見学ツアーに行く。現在は目黒区総合庁舎。
庁舎とも一企業のビルとしても、何かしらそぐわない教会の様な佇まい。
入り口を入ると四季を表すというモザイクの明かり取りの天窓の下。
普段と全くかけ離れた世界であれこれと熱く語る人の説明を聞く。
建築というものをどのように鑑賞するか、ほんの少し知るだけでも楽しい。



大阪でもあちらこちら大大阪時代の建物を見て回ったが、
残念ながら専門家の建築的な詳しい説明を聞いたのではなく、
一般人としての鑑賞が主流の説明だっただけに、
その建築事務所で働き、建築家の影響を受けて業界で生きる人の「恋する人を語る」
「先輩を語る」「尊敬する人を語る」口調にはほとほと感心させられた。
何というか、愛のある解説、説明だったのだ。



贅を凝らして作られた千代田生命は今は無く、スター生命になり、
その後、えーとどうなっているんだっけ? 
経済界のことにはとんと疎い私。
千代田生命ビルという一般企業の建物が目黒区の区役所として
使われているということさえも知らなかったし、
こういうツアーそのものも今年で9回目、目黒区美術館が初めて行い、
見学ツアー形式が全国に広がっていったということさえも知らなかった。



美術的な建物、建築物のツアーというものは専門家、
その手の好事家の間では良くあるものであり、
一般人にはそういう情報はなかなか届かなかったけれど、
インターネットや文化財保護などの見地、
町おこしやその他の活動から盛んになっているのだとばかり思っていた。



何しろその街の景観、財産を市民が守り知ることは大切だから、
普段閉館、使っていない旧館等もたまには公開するべきだと思っていたし、
まさかこんな風に区役所に転用されたものを休日に見せて頂けるなんて、
こういう企画もあるのだと家人から情報が入りびっくりで、
連休前半の計画のシメとしてこのツアーを持って来たのだ。


    

    

  


ツアーは最初の山場、この建物の中で最も美しいとされる階段の説明に入った。
このように曲線を駆使して階段を作る、外からは見えない、
この内側の世界を密やかに、秘密の場所のようにシンプルに飾る螺旋は、
建築家の感性の神髄とも言える作品なのだそうだ。
確かにこのような階段を何の必然性があってと問われれば、
こういう階段でなければならないとイメージして設置した、
その衝動、勢い、繊細さ、想いのしなやかさは、
えもいわれぬ世界を上下を繋いで展開してみせていた。


    

    

  


動線の美学―階段・手摺・通路 (村野藤吾のデザイン・エッセンス)

動線の美学―階段・手摺・通路 (村野藤吾のデザイン・エッセンス)

村野藤吾のファサードデザイン: 図面資料に見るその世界

村野藤吾のファサードデザイン: 図面資料に見るその世界