Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

「変わり兜×刀装具」展

昨日の久しぶりハードな美術館博物館連チャンの疲れが
抜けきらぬまま、ぼーっと過ごした日曜日である。
充実と言えば格好いいが、年甲斐もなく歩き回ったと言われると、
これまたどうしようもないのだが、仕事の合間、
思い切ってエイヤっと市内まで出て行かないと、鑑賞も出来ない。
それぐらい気合いを入れないと、絵も書もモノも見ることができない、
そんな情けない具合になってしまっている今日この頃。
お題目は派手。「戦国アバンギャルドとその昇華」と前置きが付いて、
「変わり兜と刀装具」展と来たもんだ。
夏場の「エヴァンゲリオンと刀展」に続き、頑張るなあ、企画。


   


娘が刃物やちょっとした冒険モノ、乱暴な言葉遣い、
トランスジェンダー的な雰囲気、悪魔や妖怪、不思議系、
つっぱらかった系に惹かれているのを見るにつけ、
中2病ではないけれど、女の子が憧れる男の子的立ち位置、
腕力や権力、その機動性、与えられるだろう地位などへの憧れを、
ああ、自分も望んでいたなあと懐かしく思い出す。


   


フロイトの学説を持ち出すまでもなく、
ユングのアニマ・アニムスを今更述べるまでもなく、
自分の持たざるモノを求めて補完・補充すべく働く、
本能的な憧れを、押しつぶすわけにもいかない。
この展覧会を見たがっていたのは娘なのだが、
期末試験関連で諦めて家にこもって勉強している辺り、
現実に向き合う娘と、ハレホレヒレと家を飛び出すかーちゃん。


 


滑稽珍妙自己顕示欲の塊のような兜を見ていると、
そこまでして目立ち、自己主張し、手柄・功名・武勲の誉れ、
ありとあらゆる賞賛を受けるための手立てを惜しまぬ、
戦う男達の装いに目を見張らざるをえない。
それが美学なのか、意地なのか、わからないが。
信仰なのか、自己愛なのか、「やけ」なのかも定かではないが。


  


今の時代まで残され、或いは伝授され、大切に保管され、
受け継がれてきた一揃えの武具、兜に具足を並べてみれば、
その気概、生き甲斐も見て取れようというもの。
死に顔を晒すうとましさ、嫌悪、恐怖、それらを押し隠し、
ただただ勇ましい、鬼神の如き霊力をも呼び寄せんが為、
あらゆる目に見えぬ力を集める依代として、
かくもめざましく進化? した形状の鎧兜を身につけて、
戦場を駆け回っていたのかと、驚き呆れ。


 


ユニークで目を楽しませてくれる、サムライアート。
そんなふうに表現されると、少々違和感を抱く。
いや、大いに違和感を感じる。
そんな軽さで取り扱っていいものかと思いはするが、
今風の、若者受けするキャッチコピーや解説文章、
柔軟な切り口でないと、集客は難しいのだろうと、
改めて舞台裏を思いやってしまう。
そう、商売なのだから人集めには手法が要る。
目立って観客を集めてなんぼの、手練手管が至る所に必要なのだ。



そんなふうに考えながら、美術品や歴史的な遺物に目を向けようとは、
若い頃は思いもしなかったことなのだが、実際、
鑑賞以前に余計なことをあれこれ考えながら見てしまう、
何と無粋な物の見方をするようになってしまったことか。
そんなことを考えながら、ぐるっと見て回る急ぎ足の夕方。
大阪歴史博物館は、有り難いことに賑わっていた。
昨日は、何ともいえぬ趣きある師走の夕暮れ。

変り兜: 戦国のCOOL DESIGN (とんぼの本)

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戦国武将 変わり兜図鑑 (ビジュアル選書)

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そう、本日は・・・、太平洋戦争が始まった日。
リメンバー、パールハーバーの日だよなんて、
前線新聞にも載らない12月8日。
これでいいのか?
歴史も知らないで背だけ大きくなっていく若者達。
そのくせ、歴女だ何だとはしゃぎ回って、
古(いにしえ)の武将に憧れて、現実を省みなかったりする。
それでいいのか? 余計なお世話か。


昨日の自分をまだ引きずったまま、月曜日は過ぎていく。
なので、本日の「予定の仕事が出来ないまま、だらだら過ごしてしまった。
先週金曜日の忘年会の余韻も加わっていたかも。
仕事から逃げても年末は近付いてくる。
幾つになっても、やりたいこと
やらなければならないことのバランスを取るのは難しい。
そんな、12月の8日、日曜日。

勇将の装い―戦国の美意識 甲冑・陣羽織

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決定版 図説・戦国の変わり兜 (歴史群像シリーズ)

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