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武士の献立

丸1日、年賀状書きに追われる。
必ず近況報告を兼ね写真と手書きで一文入れるので、
思いのほか時間が掛かる。
最近はプリントゴッコの年賀状が減り、パソコン仕立てが増えたけれど、
何も書いていない賀状は、本当に愛想が無いので。


関東入りして丸2日間歩き回った疲れもあって、
思うようにからだが動かない。夜、郵便局に投函後、


家族全員で『武士の献立』を見る。
なかなかに面白かった。
でも、俳優さんを見ていると知った顔ばかり出てくるので、
日本映画界って俳優の使い回しかと思うくらい、
同じ顔ぶればかりでつまらない。
というか、若手が出ていると脇をベテラン陣がガッチリ固めて、
隙無く支えているので随分「保険」のきいた映画作りだなと思う。


変な話、若手でよく顔を見る人は、別の作品でも主役・準主役級。
ベテランは脇役とはいえ、そこは年季が入っているから、
どんな役で出てきても印象的、さすがだなあと思う。
そつなく演技、芝居が出来るという強みは、
逆に言うと、その人の個性が鼻についてちょっとなあ・・・
という時も無いでなないが要所要所を締める役割にはなる。


おまけに自分が年を取ってきたせいだろうか、
若手の演技を見ると随分上手くなったなあと思う反面、
自分と同年配だと頑張っているなあと応援したくなり、
自分の先輩格、下手をすれば親の年代に近いと、
まだ生きてご活躍だったのか、有り難いことだと思う有様。
往年の演技と比較して見るのは勿論、感慨もひとしおだったりする。


武士の献立、姉さん女房、藩政改革・お家騒動、嫁舅姑、
同僚同輩、上司部下、仕事関連は今も昔も悩み満載。
奉公先に嫁ぎ先、友情愛情取り混ぜて、
色んな所に枝葉を伸ばしてストーリーも保険が効いている。
ある場面が少々物足りなくても、別の場面で補完される、
そういう手堅い作品作りをした上で、色んな世代でも楽しめるよう、
ファミリードラマ仕立ての映画なのだ。
おまけに何と言ってもこの映画、キャッチコピーが
「家族の歴史は、毎日の献立とともにあった――」


史実を織り交ぜ、料理・台所を預かる仕事が、女だけのものではなく、
意地と面子を掛けた男の世界だったという設定も面白い。
かつて『武士の一分』では毒味役の青年武士が毒で失明し、
それでもその剣の腕で妻をなぶり者にした上役を斬る設定だったが、
そういう荒事とは異なる見せ方なので、年末年始の家族映画にはふさわしい。


休暇に実家に帰る人、我々のように単身赴任先に出向いて、
束の間の家族再会、家庭で過ごす時間を普段よりも多く取る年末年始、
親戚や友人、賀状の上の付き合いだけでも近況を知る時期、
このような作品を見るのも悪くない。
ましては、お節を手作りするもせぬも、そのうちの台所事情。
今では保存食品を買いだめ作りだめすることも不要のご時世。


夕方の映画館の立体駐車場からは、遠くに富士が霞んで見えた。
それだけでも関西から「異国」に来た気分。
ああ、ここは高台から富士を望むことが出来る地域なのだと思うと。
今年も後、一日限り。

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