Festina Lente2

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春立つ今日

立春

春立ちぬ。
昨日は節分、今日は立春
何かいいことあるかしら。


袖ひちて むすびし水の こほれるを 春立つけふの 風やとくらむ


紀貫之―あるかなきかの世にこそありけれ (ミネルヴァ日本評伝選)

紀貫之―あるかなきかの世にこそありけれ (ミネルヴァ日本評伝選)

 
紀貫之 (講談社学術文庫)

紀貫之 (講談社学術文庫)


律儀に毎年思い出すこの歌、紀貫之
受験教育の賜物で、これ1つでどれだけの技が隠されているか、
理知的観念的な古今和歌集の賜物と叩き込まれて幾星霜。


歌のやりとり1つが恋愛となり政治の駆け引き、
むろん人格そのものを表すバロメーターであった時代、
自分の技と努力を知性を持って示すは当然の時代。
文字も美しく、歌も麗しく。


もっとも、庶民は読み書きには無縁。
(一部の人々が和歌を嗜むのは歌謡の世界の名残なのか、
 万葉集の時代からの伝統なのか)
一部の貴族、恵まれた階級の知的な自己表現の世界は、
一般庶民の知るところではなかったけれど・・・。


思い出をよすがに、あれこれ物思う立春の、
何とも美しく絵になる事よ。
心の中の想念だけは自分の自由自在に操れる、
誰にも侵されぬ世界であるからこそ、いっそう。


春立ちぬ。
何か、いいこと無いかなあ。

中谷宇吉郎集〈第5巻〉立春の卵

中谷宇吉郎集〈第5巻〉立春の卵

【絵解き】江戸の暮らしと二十四節気 (静山社文庫)

【絵解き】江戸の暮らしと二十四節気 (静山社文庫)