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アタゴオルは猫の森

リアルタイムでますむらひろしを読んできた。
残念ながら、全部が初版本と言うわけではないが、ほぼそれに近い。
5歳からママの漫画を読み始めた娘は、ヒデヨシのファンになった。
というわけで、口うるさいママのお宝を無造作に読みふけり、
映画館のチラシに目ざとい娘と、映画鑑賞には甘い親が
夕方から初日に「アタゴオルは猫の森」へ。

実際、往年のファンとしては、白黒であの朴訥な線だからこそ、
ますむらひろしアタゴオルだ、という思いがあるのだが、
テレビのCMなどを見慣れた人は、カラーの方がいいのかもしれない。
自分が思い描いている色と違和感があると、困るというのが正直な心境。
でも、ファンというものは、期待はずれかもしれないと思っても、
かつて自分が読み耽った時代の作品とは乖離があるかもしれない、
という危惧を抱きつつも、やはり、見逃すのは嫌なのだ。


正直な感想としては、ストーリーは大したことは無かった。
本来のアタゴオルの不可思議な世界を、描き切っているとは言えない。
というか、この映画を理解するためには、予めストーリーの背景を
知っておかなければ、付いて行くのは難しいかもしれない。
米米クラブのファンならば、嬉しいかも。
だって、その復活ステージをアニメで見ているようなものだから。
歌、ダンス、音と光、司会、ビジュアルな舞台の臨場感、
そういうものが、オープニングから溢れ出てくる。
それはそれで、色彩と音楽のコラボレーションが楽しい。


ただ、古いファンだから、楽しいと同時にどうしても寂しい。
娘の頭に、こういう映像がインプットされるということが。
そして、主要な人物の、基本キャラクターは忠実に守られていたものの、
アタゴオルの住人たち、テマリやタクマ、から揚げ丸やヒデ丸などが
その他大勢にされてしまっていたのが、残念。
ヒデヨシのキャラクターを、前面に出し過ぎている。
謎の猫、ギルバルスをヒーロー扱いし過ぎている。
不思議な能力と持つ、ツキミ姫の力を生かしきれていない。
人情味がありながらあっさりしている、テンプラの味を出し切れていない。
ピレアのイメージが、何故かメーテルの母親と重なってしまった。
ヒデコが余りにアホなチンクシャで、かわいいより呆れた。


娘は映画の最後、泣いていたなあ。ま、私もちょっと泣けたけれど。
なんと、家人は昔の漫画の内容と違うと言って、寝ていた。
幾ら何でも、寝ることはないと思うが・・・。
まあ、あんまりストーリーを語ると、ネタバレになるので。
それにしても、アニメ技術の進歩は、すごい。
かつての「銀河鉄道の夜」の、アニメ化の時も感動したけれど、
色や形が、こういうふうに表現されるんだなあという感動は得られた。


さて、これから観にいく人は、ヒデヨシが咲かせる「花」をお楽しみに。
笑えますよ、その色と形、花の名前と匂いを知っている人は、特に。

アタゴオルは猫の森 1 (MFコミックス)

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アタゴオル玉手箱 (1) (偕成社ファンタジーコミックス)

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