Festina Lente2

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「チーム・バチスタ」前後

私の勉強会は、一見ケースカンファだが、
スーパーバイズと同時に症例検討会だからハード。
その後、仲間とお茶して気分一新。待ち合わせ場所へ。
私が悩んでいる間、家人と娘は甘い甘い場所でデート。
2人はバレンタイン企画の建築中のお菓子の家を眺め、
マジパン細工を楽しみ、映画のチケットを買ってくれていた。

 
 

娘が所望した「チーム・バチスタの栄光」まで時間があった。
家人の所望する、関東には無い店、「551の蓬莱」で食事。
実は私も初めて。ま、豚饅は食べたことはあったけれど。
まあ、春節の時期とはいえ神戸中華街に行くことも叶わないので、
せめてささやかに、ちょっと暖かい中華風味を楽しむ。
海鮮ヤキソバ、春巻・餃子・醤油ラーメンを大急ぎで。


それにしても、私は主人公が女性に変更されているだけで、
余り見る気を失くしているのに、娘は何に興味を持って、
この日本映画を観る気に? 多分、この間テレビ放映された
「バブルでGO! タイムマシンはドラム式」のせい。
白鳥役がここに出ていたからね。


読んだ書物を映画化されるのは、それでなくても抵抗がある。
なのに・・・連休の初日を親子3人で映画館。よりにもよって、
主人公であるべき個性派男性同士の「絡み」がない、
「バチスタ」を見ることになろうとは。

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光



ネタバレと言うか、粗筋は読んでいる人にはわかっているから
ここで書くまでもない。それよりも、「主人公は医療」と
言い聞かせていないと見ていられないお粗末さ。
人間関係やキャラクターを際立たせようとしたのだろうが、
映画というよりも民間ドラマ、演技というよりオーバーアクション。
余りにもテレビ的な仕立てで作品の持つ奥行きをカットされている。
酷評された稚拙な絵でコンビニに並んだ漫画化本にも劣る。
「田口と白鳥のやり取り」の妙味は全く映像化できていない。

チーム・バチスタの栄光 (ワンダーランドコミックス)

チーム・バチスタの栄光 (ワンダーランドコミックス)

要は竹内裕子を使いたかった。まずここから出発している。
次に、キャラとして映像的に不細工な白鳥を出す訳にはいかない。
だからメンズノンノのモデル出身の安倍寛を使った。
後は7人に当てはまる濃いキャラを配置。
チームの特集場面は「Gメン75」へのオマージュか、もじりか。
〆というか、押さえに飄々とした病院長を國村隼
まあ、これは何とか許せたけれど。


原作を知らない家人は、麻酔医が犯人なのはわかっていたが
検死に画像撮影は許せないと、どうして周囲が怒っていたのか?
と疑問顔。まあ、司法解剖が殆ど行われていない日本、
解剖そのものが殆ど行われていない日本の実情なんて
一般に知られていないものね。
そういう意味では、日本の医療の実情の一端を庶民に
知らしめるという啓蒙的な意味では映画の価値はあるのかも。


でも、原作のイメージを壊されてまで、見たいとは思わない。
それに、周囲の医師が同僚の医師に対してなのか、
それとも映画の主人公が若手の女性医師だからなのか、
医療界の体育会系気質を前面に出したいのか、
実際現場ではこういう状態なのか、
「おまえ」呼ばわりが耳障りでならなかった。


映像作品というものは、話の骨子を浮き上がらせる為に、
意図的なデフォルメや削除改変を行うものだと、
わかって見ていても不愉快な言動、演技。
特に人選がカメラ映りを意識した結果なのかどうか、
目千両を選びたかったのか何なのか、目ばかり目立った。


マスクで顔が隠れることを想定して、目が大きい役者を?
目で演技できるということをアピールしたかった?
バタ臭い顔ばかり並んで、肝心の主人公はぼーっとした演技を
前面に出していてキレのない女性。
不細工さとロジカルモンスターのギャップが美味しいはずの白鳥が
ニヤニヤ厚生労働省を背負う男性モデルでは、ね。


おまけに、あのオチ、種明かし、終わり方。
男性患者は殺して、女性患者は殺さなかった、みたいな。
犯人に対する竹内・田口のリアクションも解せない。
メロドラマみたいな台詞も。
何も知らない娘は単純にソフトボールの対決シーンで、
バックライトが割れるシーンを楽しんでいた。
原作を知らない人はそういう楽しみ方でいいのかも。
「怖い病気だね、桐生先生の掛かった病気」
娘は親身になって観ていた。


娘のように、新鮮な気分で映画を観られなかったのは残念。
でも、医療が個性的なキャラに左右されているというか、
チームと言っても色んな個人の集まりなんだという事を、
悪い意味で見せ付けられている気分になってしまった。



白い白い雪、アイスバーンの歩道を、3人で帰宅。
中華ではもの足らず、夜食のお菓子に缶チューハイ
期待外れの映画は失敗したデートのよう。
そういう私が今読んでいるのは『ブラックペアン1988』
これで「口直し」して寝よう。
白い白い雪の日の夜に手にする、黒い表紙の本。
少々感傷的な今、この本が今の気分。

ブラックペアン1988

ブラックペアン1988

つながるいのち―生物多様性からのメッセージ

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