Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

岡崎の花火

あと3年様子を見ましょうと言われた。命の炎が、蝋燭が風の前に揺れる。
あれは秋、そして夏。一昨年3度目の引越し。万博公園に上がった花火。
小さなかわいい花火大会は、やっとのことで繋いだ命と家族の絆の証し。
ヴィのような花火。


1年生の娘は3年生になり、青い浴衣に赤い帯。娘らしい装いに。
仕掛け花火に手筒花火、絢爛豪華な打ち上げ花火、盛り沢山の花火に目を丸くする。


  


  


夜風も涼しい矢作川の桟敷席。弁当・日本酒・ビールに枝豆。
天空の花園は雷鳴にも似た轟きと共に咲き、散り敷く。
あなたがまだ側に居てくれて、良かった。
あなたがまた元気になって、良かった。
砂時計にどれだけ砂が残っているのか、いま少し気にせずに、
夜空を見上げて、美しさに酔おう。
共に同じ方向を見つめていられる時間を大切にしよう。


  


  


娘が居て、あなたが居て、家族がいる。
天から舞い散るが如き、ヴィのような花火。
一瞬の輝き、揺らめき、どよめきに縁取られて、生きる。
それぞれの生。私たちの人生。
花火よ。



実は岡崎の花火を見るのは2回目。娘がまだ2歳の頃。川向かいの松林の前。
あの頃は子育てが楽しく、家族を守り育てる日々が楽しく、
人生は後半からゆっくり好転していくものなのねと楽観的に生きていた。
仕事もまあまあ、暮らしもまあまあ、義父母ともまあまあ。
何となく可もなく不可もなく、柔らかなほっぺと共に、
家族の時間も熟していくだけと、何の根拠もなしに信じていた。
何も知らなかったあの頃。


  


  


あの頃には2度と戻れぬ。花火師ではなく博打打ちになって人生を、
どぶに捨てたか道を踏み外したか、神に見放されたのか。
不幸と不信が手に手を繋ぎ、降ってわいた災厄になぎ倒され、
途方に暮れていた、秋・冬・春・そして夏。


徳島・鳴門・北島・阿南・小松島草加・越谷・万博公園・PLの花火。
季節を追いかける中で、家族で過ごす日々を彩る花火。
団扇片手に海風に吹かれ、たこ焼きを食べ、丘に登り、花火を眺め。
公園の芝生に寝転び、川の字になって夜空を見上げ。
今年、桟敷の升席に陣取り菅生神社の神事、岡崎の花火を愛で興じる。


  


  


変転著しい日々の様相。Aspects of Life?
「お母さん綺麗だね、凄いね」
本当に綺麗、何て美しい。日々成長していく娘を、
夫婦揃って目の前にして、家族で花火を見る嬉しさを、
何に喩えよう。生きている喜びを。
ヴィのような花火。降り注ぐ火の粉、生気、命。


夜空を彩る命の輝きよ。

花火

花火

泉谷玄作 花火 彩華が紡ぎ出す四季のポエム

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