日記をつけて1200日目
このところ、とみに遅れ気味な日記だが、
リアルタイムでつけるのとは異なり、
これはこれで、なかなか人の記憶はあてにならないものだと思ったり、
こんなことをしつこく覚えているのだと改めて感心したり、
それはそれで面白いものだと感じるようになった。
タイムラグがあるからこそ比較して考えたり、
その場で書き留めておかなければ忘れ去ってしまっていたり、
思い出そうとしても思い出せなくて残念だったり、
間を空けるからこそ、今まで感じなかった物思いもあると
今更ながらのように思い知らされている。
小学校から高校・大学の最初の頃まで、途切れ途切れに書いていた日記。
高校を卒業して間もなく、小・中の頃の日記を焼いてしまった。
子供の頃の思い出とよほど訣別したかったのか。
今、手元に残っているのは、詩だの散文だの僅か。
日記というよりも、感情の嵐の殴り書きのようなものばかりで、
毎日を記録して備忘録とするという類ではなく、
箴言や金言といったものに憧れはするものの、頭は空っぽ。
もっぱら気に入った言葉を書き写したりするだけで、精一杯。
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・・・それはそれで良かったのかもしれない。
いまだ見ぬ人々に会い、語ったつもりになり、励まされたと思い込み、
自分なりに何とか心の整理をつけて、座右の銘とまでは行かぬまでも、
心の支えになる何がしかの台詞を胸に、哲学めいた思索の真似事、
無駄と思える物事に時間を費やせる青春の日々。
たわいないと思える雑談や堂々巡りも、必要だったあの頃。
パソコンのキーボードで打ち込むのではなく、
一字一字をブルーブラックのインクで書き記した頃。
万年筆を日記のそばに置き、手にとって逡巡したあの頃。
随分遠くに来たもんだ。そんな台詞を吐いてみたくなる。
それでも、同い年の友人ではなく、いまだ見ぬ誰かの思い、
特別な経験、日常の物思い、さらりと述べられたような意味深な言葉、
芝居がかった台詞、ときめくような甘い囁き、叱咤激励、
初めて知る、あるいは経験が語らせる、様々な含みを持つ言葉に、
文章に、思索の後を追うような込み入った読書に、
行きつ戻りつしながら、線を引き、書き込みをし、書き写した日々。
それが毎日の感情の嵐を収める手段の一つだったあの頃。
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ブログは当時の日記とは余りに隔たりがあるものの、
(考えずに書いているというか、書く速度が速過ぎて)
日記であることに違いは無い。
感情の嵐とまでは行かないけれど、たまには愚痴も嘆きも。
ハッピーフローには程遠い、マイナスの感情が吹き荒れる事もあるけれど、
忘れたくないこと、ちょっとした物思い、言葉に出しておきたいこと、
一字一句書き記すよりも軽い表現しか取れず、
思ったことを書き散らしているだけに過ぎないけれど、
なるほどね、これが私なのだと思わず・・・。
こんな風に自分との距離を取るのね。取れるようになったのね、
そんな風に思える事もあれば、駄目だこりゃ、幾つになっても青臭い。
直球しか投げられない、融通の利かない馬鹿丸出しの日々。
あるいは懐手して不貞腐れ、口籠もっているくせに煮えたぎっている、
そんな自分を見出して哀しくて笑える。
家族のことで自分のことであたふたとしながらも、
書くことだけは手放したくない、そんな自分は何物なのか。
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かつて友だった人々とは、疎遠というわけではないが、
実生活に押し流され、電話も手紙もやり取りも無く、逢う暇も無く。
便りが無いのは元気な証拠、されど、便りが無いのは必要とされていない証拠。
そんなふうにも思えて、自分自身がぐらりと傾くような孤独に落ち込む。
これが10代の子供ならば底なし沼に落ち込んだ気分なのだろうが、
今の私には、闇雲に連絡など取らずに生きるのが当たり前の大人と、
そう思い込みながらも寂しくて、強く確かな手ごたえでなくても、
柔らかでしなやかな緩い繋がりが欲しいと思うことが多々ある。
転勤前の2年間と転勤後の今まで、つまりROMでしかなかった自分と、
青春時代以来再び少しずつ書くようになった自分と、
この溝を飛び越えさせたのは、緩やかな繋がりを張り巡らしたくなった、
自分以外の世界に向かって緩やかな網を張りたくなった、
そんなセーフティネットを無意識に捜し求めてのことだったのか。
読むことが専門だったはずなのに、自分が書いたり写真を載せてみたり、
そんなふうに生活しているこのスタイルに、多大な時間を割いて、
それに何の意味があると問われれば、
問われれば何と答えよう・・・。
ただ、蒔かぬ種は生えぬ。
点は線になる。
誰かの何かを読み、写し書きしたかつてのように、
私はどこかにコメントを残したくなる。
少しばかり足あとを残したくなる。
見事な写真に、美しい文章に、やるせない思いに、
ほうとため息をつき、息を呑み、深く頷き、
隔たりある距離を一気に飛び越えて、その場にたたずみ、
共に在ることを伝えたくなる。
そして、きっと私は人にもそうしてもらいたいのだ。
そんな私が、今日まで1200日分の日記。
1487の記事。
自分自身に届ける、マイライフクロニクル。
そして誰かに届ける、neimu's クロニクル。
2009年11月11日。私からあなたへ。
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