Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

二人きりの豆まき

節分。朝出掛けに娘が「豆忘れないでね!」と。
今日は歯科大のあと直行直帰の出張だ。
さて、久しぶりに満員電車で押しくら饅頭。
地下鉄で事故があった影響か、エスカレーターで駅員が叫ぶ。
「1列で、1列に並んで!」
いつもと違う雰囲気の駅にちょっとびっくり。


おまけに土台を入れ、仮歯を被せるのに、
主治医は何度器具や仮歯を落とすんだか・・・。
いったい何があったんよー。
・・・単に部品が小さくて扱いにくかったのと、
ゴム手袋が大き過ぎて掴み難かったよう。
何かあったかと心配しちゃった。


主治医は医師である前にまるで宝石職人のように、
器具を操り仮歯をかたどり、形を整え、磨き上げ、
何度も高さを修正して、私の口の中の一部にする。
金属の土台が入って、口の中が何だか不思議な雰囲気。
本当に上下噛み合わせることが出来るのか少々不安。


家人と待ち合わせたランチは、辛すぎる現地カレー。
ナンは甘みが少なく、混雑の割りに店員が少ない。
待たされた挙句、大急ぎでかき込む。
急に余り硬いものは噛めない。
ちゃんと噛めているようで少々安心。
仮歯も外れたりしなかったし・・・。
腹ごなしと気分転換を兼ねて、出張先に出向く前に
北浜のレトロビルでレンタルギャラリーを覗く。

 

 


さおり機で創った迫力のある一点ものの作品が、
太陽のように強烈な個性を放って輝いていた。
人形のボタンが付いた真っ赤なコート。
シェーをして笑っている。
(後から知ったが、この「遊気Q」なるギャラリーで行われていた
 山本一郎展という催し、徳島出身の人らしく、
 偶然とはいえ、我が家はよほど徳島と縁があるのだと思った)

 


オーナーとお喋りして、袖を通してみて、
ほんの少しだけ夢を見て、出張先に急ぐ。
そう、買うんじゃないの、見てるだけ。
それだけでも、心は少し春気分。
節分なんだもの、今日は。

手織り入門―いろいろな織り方がわかる12のレッスン

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創作市場45 手織に遊ぶ

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仕事を終えると地下鉄の駅は凄い混雑。
ああ、あびこ観音に厄落としのお参りか。
恵方巻を売る店、屋台、リンゴ飴ぶどう飴、人形焼、鯛焼き
食べ物以外の店もずらりと参道に並んでいる。
豆を買うとお面が付いてきて、食べる豆の数だの、
残った豆で豆ご飯にする話だの、雑談に沸いた。


スーパーも出店も恵方巻だらけ。
そこまでこだわらないといけない?
七つの具を入れて、福を招く?
とりあえず巻寿司に被り付き、
いや、それよりも「ためしてがってん」特集を見て
低体温を防いだ方がましかも。
娘と二人でちょっと寂しい豆まき。
鰯じゃなくてめざしを食べて、豆まき。


こんな小さな豆粒で人の厄を払い、鬼を払い、
福を招いてくれるなんて不思議。
こんな小さなものだから、小回りが利くのかしら。
そんなお馬鹿な事を考えながら、夜が更けていく。
鬼やらいの無数の声が寒空にこだまする夜。
年寄りたちはとっくの昔に寝てしまった。


夜、二人だけで豆まき。
明日から春、待ち望んだ春。
豆のつぶては恵方を招く。
娘よ、君の投げた豆が未来を呼び込む。
「鬼は外、福は内」

おもひでぎょうじ

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鈍色の歳時記 (文春文庫)

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