Festina Lente2

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ダレン・シャン

レディスデー。娘と『ダレン・シャン』を見に行く。
一日片付け三昧。食事を作り置きして夕方からの時間に観て、
図書館に寄り、帰宅、すぐ夕食。このコースで。
春の大掃除というか、ピアノの調律の予定があって部屋を片付けるのと、
娘が5年生を迎えるにあたり、
乳幼児の頃からの思い出の品々を片付け始めることに。
何しろ娘のもの(まあ、こちらが買い与えたわけだが)を、
親がどうこうするというのも何なので。


ダレン・シャン』は1冊一気読みができるが、10冊以上続く長編。
怪奇もの、ミステリー、ホラーファンタジー、そして冒険活劇、
色んな要素が混じっているものの、ハッピーエンドではない。
おどろおどろしい感じは読み進むに従って強くなる。
読み進むほどに楽しくなるというよりも、
最後の方では、こうなったらどんな風に解決するのか、
落ちを読ませて貰おうじゃないかと、図書館から借りて読んだ。


何しろフリークショー、蜘蛛に刺されて瀕死、ヴァンパイアだのと、
穏やかならぬ展開で進む。怖いもの見たさの子供には、
本の世界の中での冒険はある意味安全だが、この話の中が現実だと恐ろし過ぎる。
それにしても、サーカスという名の見世物小屋、旅芸人、アジール
胡散臭い秘密の拠り所が映像化されるのはわくわくするような、
それでいて期待外れだったら嫌のような、複雑な心境。


全巻読み通していない娘の反応や、いかに。
ストーリーは前半は原作に忠実だが、後半は・・・。
続編を作るためにもっと後に出てくるはずのエピソード、
登場人物が出てきたり、原作に無いシーンで? だったり、
まあ、『コララインと魔法の魔女』と比較してどうかな、
3Dよりはやはり目が楽だなと思いながら観た。
渡辺謙がミスター・トール役で出ているとは思わず、笑えた。

ダレン・シャン1 奇怪なサーカス

ダレン・シャン1 奇怪なサーカス

ダレン・シャン2―若きバンパイア

ダレン・シャン2―若きバンパイア



ダレン・シャン』は怖いものみたさを刺激する。
ある意味、思春期の(子供)心をよく心得た本だ。
表紙買いしたくなるような不思議なイラスト。
物語を暗示するイメージの世界。
私の世代のポプラ社からの「怪人二十面相」や、
「アルセーヌ・ルパン」のシリーズに似ている。
表紙を見ただけでドキドキするような、そんな世界。
果たして映画はどうか?


ストーリーを知っている人間にとっては、?という気がしないでもない。
どちらかと言うと、想像力欠如の漫画世代向け具体的映像といった感じ。
まだ1巻しか読んでいない娘は面白がっていたが、
精神的高揚や爽快すっきり感を得られる結末ではないので、
余りお進めしたくはないのだが、まあ、規制はするまい。
読書は人それぞれだし、今どき昔のように勧善懲悪的なストーリーや、
偽悪的な仮面を被りながら、実は誰よりも正義感に満ちたヒーローなど
流行もしないのだろうから。


それよりも、両親の愛に恵まれず、片親で育ち、母親は飲んだくれ、
成績は今一つで、ぐれて反社会的行動に走る少年、
典型的な「虐待から問題行動に走った少年」が、
両親の揃った成績のいい友人をそそのかして、冒険。
自分のテリトリーに引きずり込もうとした所が、意に反して、
自分の夢だったアウトロー生活(ヴァンパイヤになること)を、
のほほんとした友人に横取りされる結果になり、更に悪の道に走る。
この対立構造の方が気になる。


環境を変える手段を持たないという、自己否定感に満ちていること。
負の感情でもって相手を懐柔しようと
(自分の低さまで相手を引き摺り下ろそうと)すること。
世間や親、友人、その他あらゆるものに怨嗟の感情を抱いていること。
反社会的な非現実的な力を手に入れることによって、周囲に復讐でき、
達成感が得られると感じていること。
そのためには殺人も辞さないエキセントリックな衝動に満ちていること。


こういう敵に対して、子供子供した挫折感の少ない主人公は対抗できるのか?
はなはだ『悪』の方が目立つ印象的な描き方がされていて、
読書とは異なり、映画化は今一つ問題が大きいなと・・・。
そんなこと言ってたら、昔々の『ウエスト・サイド物語』も、
殺人シーンがあるから問題だと嘆いた頭の固い老人と一緒か。
しかし、『ダレン・シャン』の物語には心に響く哀切感が少ない。
どうしようも出来ない、どうにもならないやりきれなさのほうが大きい。
やはりこれは時代が生み出した物語なのか。


まあ、娘は前売り券の特典。蜘蛛のおもちゃを喜んでいる。
妖怪大戦争』のポスターをみただけで、いやだーと騒いで、
怖がっていた保育園の頃を思うと、進歩と言えるか?
怖いもの見たさがこれからしばらく続くのだろうな。
母と娘のレディスデーで弥生とおさらば。
明日から新年度。

ダレンシャン 外伝

ダレンシャン 外伝

オリジナル・サウンドトラック「ダレン・シャン」

オリジナル・サウンドトラック「ダレン・シャン」