Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

シャドウ

どうすれば自分を強く保つことができるだろうか。
何年か勉強を続けているうちに、素人から専門家になるのか、
素人から趣味人になるのか、分かれ目が幾つも見えてくる。
自分は何のプロなのだろうと、何を目指しているんだろうと、
幾つになっても迷う。どこまで行っても迷う。


何かを目指そうとするエネルギーを持っている人と、
停滞期に入っている人間との差を、いや、
疲れてその先に行くモチベーションを保ち続けられない、
弱音を吐いて休憩したがっている人間とを、
同じ土俵で、同じ立場で見つめてはならないのだろうけれど。


今回指示されているのは、毎日アートセラピー
毎日自分に向かい合うこと。
自分を何に見出すか、何に自分が見えてくるか。
その一環として、本日選ぶのはシャドウ的なもの。
目の前に並べられた様々なアイテムに見えてくる、自分自身。

動物になった家族―子どもの動物家族画テスト

動物になった家族―子どもの動物家族画テスト

ワルテッグ描画テスト―心理相談のための

ワルテッグ描画テスト―心理相談のための



そこには布団を被った黒犬がいる。
真っ黒ではなく、額や手足、背中の所々が茶色い、
いわゆる額に星を持ち黒足袋を履いた犬。
真っ白にも真っ黒にもなりきれない毛並みの犬、それが私。
そして、犬だというのに泣いているような笑っているような、変な顔。
犬だというのに首まで布団に埋まっている。


私はいつも思っていた。好きなだけ布団にもぐって眠りたい。
けれども、眠ってはいられない。
目覚めて家族に何かが起こらないように、起きていなければならない。
ぐっすり眠ってはならない。誰かに何かが起こるかもしれない。
急いで起きて救急車を呼ばなくてはならないかもしれない。
いつも、眠りながら怖い。怖いけれど疲れているから横になる。
布団ではない床に、廊下に、絨毯の上に、クッションを枕に、
メガネを掛けたまま、洋服を着たまま、熟睡することのない、
長めの休憩時間が続くだけの夜。


眠りたいけれど眠れない。
そんな自分を、泣きそうな顔の犬が演じる。
毛足の長く、もったりぐったりと布団にもぐりこんでいる。
ヘアダイもパーマもする暇がなく、毛足や毛色が不ぞろいな自分。
そんな風に横たわっているだけでは、何もできない。
元気に振るべき尾っぽは見えず、
うずくまるだけでは番犬にならない。
何かに備えて行動できる姿勢ではない。


横たわる犬。それも袋状の布団の中に横たわる犬。
長らくきちんとした寝具に休む習慣を失って過ごす夜を、
疲れの癒されることのない夜を、
普通に眠ることが許されない、恐ろしいような感覚を、
まざまざと思い出させる犬。
休むことも起きることもできない中途半端な存在。


調べてみれば、犬のつく諺や熟語は余り良いものではなさそう。
我が家から愛犬の姿が消えて約半年。
私のシャドウは役立たずの薄ボケた毛並みのしんねりした目と表情。
ああ、これが私なのかと嘆息。
やっぱりこんな状態でいるのかと、嘆息。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

・犬が星をまもる:高望みをする。物欲しそうにする。
・犬にも食わせず棚にもおかず:しまい込んで用をなさないこと。
・犬の川端歩き:幸運を得ようとしてさまようこと。お金を持たずに店先を歩くたとえ。 
・犬の卒倒:毎回同じことをくりかえすこと。
・犬の一年は三日:成長が早いことのたとえ。
・犬の尾を食うて回る:苦労が多いわりには報われることの少ないたとえ
・犬は人に付き、猫は家に付く:引っ越す時に、犬は人に付いてくるが、猫は家に残る。
・犬も食わぬ:嫌がられること。相手にされないこと。
・犬馬の心:臣下が犬や馬のように君主のために力を尽そうとする心。
・犬馬の歳:犬や馬のように何もしないままに老いたと、自分の年齢の謙譲語
・犬馬の労:主君や他人のために力を尽して奔走し、自分の労苦をへりくだって言う言葉。
・犬目:泣くことを知らない非情の人のたとえ。
・犬侍:武士道をわきまえない恥知らずの侍をののしっていうことば。
・犬槍:柵や溝を越えようとする敵を槍でつくような武士の避けるべきこと。
・犬蹲い:犬のように低姿勢になって機嫌をとること。
・犬戻り:犬も進むことができないほどの、けわしい山路。
・犬死に:結果として何の役にも立たない死に方。
・内は犬の皮、外は虎の皮:家では貧しい暮らしでも、外では身なりを整えること。
・飢えた犬は棒を恐れず:食べるに困った者は、危険なことも悪いこともやる。
・飼い犬に手をかまれる:めんどうを見ていた人に裏切られてひどい目にあってしまうこと。
・負け犬:競争に敗れてすごすごと引き下がる人。
・負け犬の遠吠え:臆病者が陰で空威張りをすること。
・煩悩の犬は追えども去らず:欲望が人につきまとって離れないこと。
・門の前の痩犬:弱虫も後援があれば強いというたとえ。
・虎を描いて狗に類す:素質のないのに優れた人の真似をすると軽薄になることのたとえ。

シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (岩波現代文庫)

シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (岩波現代文庫)

投影法の現在 (現代のエスプリ別冊)

投影法の現在 (現代のエスプリ別冊)