Festina Lente2

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『エクスペンダブルズ』

昨日の夜、というか夜中から2時間、見てきた。
だんだん不良(これも死語か?)になって来た、かーちゃん。
何となく「やされた気分」になりたいので、こういう暴力映画!?
というか、小難しいこと、四の五の言わずにやっちちまえ、
そんな映画を見たくなってしまう。


普段そんなに自分が抑圧されているのかどうか、
単に年を取って気短かになり、抑えが効かなくなってしまったのか。
普段は暴力的なものに抵抗のある私ではあるが、
何しろ、漫画で育った世代、『ワイルド7』がかっこいいと憧れた私。
元々暴力的な映画、すかっとさわやか勧善懲悪のパターンが、
安心して見ていられるから好きなだけかも。


昔の馴染み、自分が若い頃に活躍したにーちゃんたちが出ていると、
(もはやにーちゃんではなくおっさんでもなく、老骨に鞭打つ年齢だが)
条件反射的に「どれどれどんな具合かな」と観に行きたくなる。
何だか応援したくなってしまう、この「おばさん根性」というか、
オールド・ファンの行動パターン。「思い出ぽろぽろ気分」はどうよ、と
自分で自分に突っ込みを入れたくなってしまうけれど。


スタローンが『ロッキー』でブレイクしたのは高校の頃。
ただただ懐かしい。でもって、スタローンが知的に活躍し、
なおかつELPキース・エマーソンが音楽を担当した映画、
『ナイト・ホークス』も私のお気に入り。
今回のようなでっぷり肥えた貫禄ではなくて、
若くて、そぎ落とされた感のあるシルベスター・スタローン。

ザ・ベスト・オブ・ロッキー「ロッキー・ザ・ファイナル」サウンドトラック

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だって、若かったあの頃は戻ってこない。あの頃の映画、あの時代。
エネルギー、若さ。衝動、若さ。青春、若さ。行動力、若さ。
宇宙戦艦大和の沖田艦長じゃないけれど、「何もかも懐かしい」。
そう思ってしまうから、かえって執着してしまう。
駄作と評判の映画、懐古趣味ワンパターン、老残としかいいようのない姿、
ハリウッド興行・芸能界に使い捨てにされた俳優たちの、
観たら落ち込むだろう作品世界。わかっていながら、
うすうす予想が付いていながらも、怖いもの見たさ。
やっぱり見に行ってしまったレイトショー。
『エクスぺンダブルズ』


土曜の夜を1人きりで過ごす。日常生活仕事の中で、消耗品の私、
映画の中で消耗品の男たち。消耗品になってしまった自分たちを
揶揄しているとしか思えないつくりの映画。
スタローン、シュワちゃん、ミッキー・ローク。
彼らの若くてかっこいい時代を知っているだけに、複雑な心境。
少林寺」で一世を風靡したジェット・リーも童顔のまま、
相も変わらずこういう役しか回ってこないかハリウッドって感じ。
『ダニー・ザ・ドッグ』の役柄よりも、ましかって程度。

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人生を映画の中で消耗してきた彼らが憂さ晴らしするが如く
宵越しの金は持たない的に盛大に火薬使ってドンパチやって、
今までと同じことしかできませんが、それが何か? みたいな
ついでにまだ何とかアクションもやってみました的な、
そんな映画の仕上がり。

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自分たちを卑下しまくって? かつてのパターンにのっとって、
これでもかこれでもかの不利な状況下で正義を貫くための
欲得無し、金銭の辛みよりも何よりも、「彼女」のために。
っていっても恋人でも何でもない、女性のために。
こういう戦い方ってある意味、中世騎士物語。
これぞわがマドンナわが姫君と決めた限りは、
竜の鼻先に落ちた姫君のハンカチを拾うために、
命を捨てるのも辞さないといった類の。


わかりやすいといっちゃ難だが、愚かしくも哀しい。
しかし、自分の生活のある部分も似たり寄ったりだなと感じる当たり、
私自身のどこかもぶち壊れていて相当に哀しい。
変に共感したくなるような映画だけれど、見終わった深夜丑三つ時、
どうしようもなく疲れて、やっぱり観るんじゃなかったかと、
そういう後悔も押し寄せてきたことは確か。


老いさらばえた俳優が、昔と変わりありません的なポーズと取り続け、
演技し続けているのを見るのは辛い。やはりしんどい。
世代交代のない職場でいつまで立っても兵隊の仕事をこなす、
そんな自分の日常を見ているようで辛い。
就職し始めた頃は、未来や年老いた頃の仕事内容まで考えず、
仕事を覚えることだけに必死だったが・・・。


消耗品、自分の仕事も、自分の在りようも、何もかも、
突き詰めていけば消耗品なんだと割り切ればいいのか、
開き直ればいいのか、その覚悟も根性もない人間は、
同じことの繰り返し、ルーティンワークの中に埋没する自分を、
ドカンと吹き飛ばしてしまいたくなるような衝動を感じて、
映画を見つめていたことは否めない。


戦うことがリハビリで、闘うことが仕事だという、
そんな非日常的戦闘状態を映画の中に見る。
それが日常に置き換わる。火薬も爆発も玉もナイフもないけれど、
常にきな臭い、それを感じないようにしている日常生活に。
自分を消耗品扱いしたくないと思いながらも、
「代わりは幾らでもいる」世の中の一部であること。


「かーちゃん」に戻る時間が少ないだけに、
唯一無二のかけがえのない存在であることを、忘れそうになる。
駄目だなあ、自分から賞味期限切れの消耗品に成り下がっちゃ。
そんな風に思いながらも心に重い、スカッとできない、
『エクスペンダブルズ』

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