Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

弥生(竹久夢二)美術館

本日の目的地。まず、弥生美術館
のりを調べてみて、駅は東大前と知ってびっくり。
小心者なので、自分のコンプレックスを刺激するような思い出、
建物は非常に敷居が高い。(高校時代の受験の思い出、
塀と公孫樹のマーク、いまだに威圧感に直結の情けなさ)


  


それでも、今年の夏は特撮祭り、いやウルトラマン祭り、
そうではなくて、子どもの頃のワクワク感の欠片を拾い集める
突貫作業的な美術館巡りと決めていた。
小学館少年少女文学全集』と同じく、『少年マガジン』に育てられた、
TVっ子の知識の源と辿る旅。
自分が訳もわからぬ海のものとも山のものとも付かない幼い頃、
思春期前期に至るまで、脳味噌に刺激を与えていたのは何だったのか
という問いを解き明かすべく美術館詣で、この夏の強行軍。


  

  


聖書や神話、オカルトや終末論、失われた古代大陸、伝説、SF、
ファンタジー、魔法、いつ如何なる時も興味と夢の種を心に蒔き続け、
気が付けば、はまっている自分は周囲に取り残されていたのか、
別の世界に飛んで行ってしまっていたのか。
周囲とはかけ離れた世界に遊ぶ子供になってしまっていた。
長じて後も、方向性のわからない根っこばかりが地の底に伸ばし、
緑の葉を茂らせて天を目指す、などということとは無縁。
根の堅州国(ねのかたすのくに)を恋い求めるような、
居ても立ってもいられぬ気持ちが、この夏の私の中に巣食っていた。


    

    

  


なので、本日の目標は『奇っ怪紳士!怪獣博士! 大伴昌司の大図解 展』
……一枚の絵は一万字にまさる…… という触れ込みのもと、
埼玉のウルトラマン、昨日の特撮博物館、本日で3つ目のゴールドメダル、
いやいや、オリンピックじゃなかった、この夏の目標達成。
大伴昌司は余りにも早く逝ってしまった、時代を先取りした人だ。


  


愛すべきバルタン星人の図解、懐かしい雑誌の特集に再会、
自分の興味関心の骨格を作っているもの、その何某かはここにあると、
納得するかーちゃんを横目に、娘は娘なりに昔の雑誌に見入っている。
様々な資料、面白い記事…、ところが何故かこの展示は実にこじんまり、
小さなもので、「大伴昌司」の展覧会にしては余りに寂しい。
でも、見て回るにはこれぐらいで十分かもしれない。
(実際疲れてしまうというのが本音)

  

    


弥生美術館に来るまでで知らなかったが、
ここは竹久夢二美術館にもなっている。
なので、夢二関係も展示されていて、それなりにふむふむ。
関東大震災当時の記事など、夢二ファンでなくとも貴重な資料。
私にとっては明治村のお土産コーナーを髣髴とさせる内容。
古い古い物語の今でいうところの元祖美少年ブームのさきがけ、
高畠華宵関連も心惹かれるものが…。


    

  

  

  


おまけに、田村セツ子、森村亜土などの展覧会関連のポスター、
昔懐かしい高橋真琴の絵本などがあって、つい勢いで購入。
かーちゃんの暴走ぶりに、娘もただただ唖然。
とうとうボケる前に、懐古趣味にスイッチ入りまくりか?

シンデレラ (高橋真琴のおひめさまえほん)

シンデレラ (高橋真琴のおひめさまえほん)

にんぎょひめ (高橋真琴のおひめさまえほん)

にんぎょひめ (高橋真琴のおひめさまえほん)


閉館前のティータイム、その名も「夢二喫茶 港や」で寛ぐひと時。
娘と共にあちらこちら歩き回って、電車の乗り降りを覚えているような、
夏休みの毎日、美術館めぐり。
よりによって、なよなよとした病的な雰囲気が少し苦手な私、
そんな夢二のイラストに囲まれて、
ティータイムとはちょっと皮肉な気分。


  

  

  


ここに来ることで偶然知った、立原道造記念館の閉館と移転。
ああ、時代は彼を忘れていくのかもしれない。
私が彼を知った時には既に遥か昔の詩人だったのだから。
9月から解体工事が行われるとあって、
見学は叶わぬまでも、せめて外側だけと写真を撮る。


  

  


夕暮れを前に、母の胸に宿る野望を娘はまだ知らない。
思春期の頃から得も言われぬ威圧感に満ちている響きを持つ内側を、
ほんの少しばかり覗き込もうとしていることを。
若い君が傍にいるからこそ。

立原道造詩集 (ハルキ文庫)

立原道造詩集 (ハルキ文庫)

朗読CD 詩人 立原道造

朗読CD 詩人 立原道造