Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

本も読めない

怒濤の転勤、読書量がどっと落ち込む。
眠いのに熟睡できず。
ジャスミン薫る、三日月が少しずつ太りはじめた夜。
本が読みたい。気晴らしをしていても、夜に起きていられない。
頭の中がチカチカ点滅するような新しい職場。
気心の知れぬ、落ち着いて昼を食べることもままならぬ、
かといって胃が痛くなるわけでもないが、美味しく物も食べられない、
気ぜわしく、苛々するようですることも出来ない程、
自分のペースに持って行けない、ゆとりの無い毎日。


これが自分なのか? と思いつつも、
今までやって来たことの積み重ねがあるから、こんな状態、
このペースでも目鼻が付いて段取りが出来ているのか?
とも思いつつ、これは自分らしさではないなあと忸怩たる思い、
鼻白む思いに鬱々とするのだが、何も感じていないふりをして、
てきぱき必要なことだけを片付ける。


仕事とは、こういうものだと思い込もうとする。
仕事とは、こういうものだったかと反芻する。
仕事とは、こうではなかったはずと哀しくなる。
仕事とは、どうあるべきだったのかと疑念を抱く。
仕事とは・・・。


初めてのことを任されて、右も左も分からずに、
試行錯誤で仕事の概要を取り込んでいく、職分だからと全うしようとする、
その気概や気力が大きく萎えている、待ち望んだ転勤後の世界。
時間だけが過ぎていくことを願い、あっという間に過ぎていくことに疲れ、
なかなか思い通りに過ぎていかないことに戸惑い、
どうしてこんなことに時間を掛けようとしているのか腑に落ちず、
何もかも自分の思いから遠ざかっていくようなよそよそしさ、
しっくり来ないザワザワとした感覚の中で、宙ぶらりん。


これで良いはずがない、これがベストははずはない。
焦ってはならない、焦ってもどうにもならない。
しかし、自分自身のやり方、やり口、自分らしさがもぎ取られ、
自分ではないような毎日の中で、どうやってまた「ここでの私」を
創り上げていけばいいのか。
同じ事を繰り返しているようで、同じ事をしているのではない。
違う相手に対して、自分も変わっていかねばならないはず。


なのに、仲間と共に、同僚と共にという感覚が無く、
訊けばいいことも訊きづらく、訊くと尚更がっくり来たり、
訊かなければ良かった、知らないふりをしていた方がましだったかと、
そんな思いにも囚われてしまう、自分の狭量さが嫌になる。
仕事はなかなか私を一人前として認めてくれない。
いつまで経っても半人前だと、謙虚でいるよりも、
惨めな気持ちを求めてくるようで、自分の精神修養はなってない、
これで拝観だろうと自問自答しつつ、ひたすら週末を待つ。


ああこれで一週間。またこれで一週間。
連休が終わって、自分が自分であるような無いような、
どっちつかずのまま気晴らしばかりが欲しくなる、
そんな晩春、春がすり抜けていこうとする皐月の半ば。

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