Festina Lente2

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ムカカ豊作

今年は当たり年、ムカカ豊作である。
ムカカ、いわずと知れた無花果
薬用にはムカカと読むらしい。同じく薬用のムカカヨウ。(無花果葉)
別名 蓬莱柿(ほうらいし)、南蛮柿(なんばんがき)、唐柿(とうがき)
天仙果とも。とにかくこの季節、唯一、我が家でとれる果物。
切っても切っても元気に枝を伸ばしてくれる木だ。
油断すると、あっという間に鳥と蟻の餌になってしまうので、
朝採らなくてはと思いつつ寝坊、結局夕食のデザート。
形は不ぞろいだが、新鮮さが売りの贅沢な一品である。


1日に1個ずつ熟す「一熟」に由来するというが、
原産地のせいなのか、この夏の猛暑にもめげずに
果敢に大量の実を付けている様子は、圧巻。
豊作のおかげでジャム作りも楽しい。


昔、気ままに旅をしていた頃、乾燥無花果が大量に出回っていた、
トルコ、エフェソスの大理石の道端、みやげもの屋の店先。
ずらりと並んでいる、乾燥ミイラならぬ乾燥無花果の山、山、山。
日本と違って、やたら高木の無花果に???な景色。
馬鹿でかい木に、たわわに実る無花果
大理石の彫刻が、無花果の葉で大事な所を隠しているのも、
これだけ豊富に葉っぱがあれば当然かな? と
白い照り返しの中で、ぼんやり考えたことを思い出した。

外は久しぶりに曇り空。夏も終わり、8月も30日。
海外に旅行に出ることも無く、育児と仕事で過ぎていく日々。
…遠いエフェソスを、どうして今日は思い出したのだろう。
夏・冬と2度も旅したからかな?
何がきっかけだったのかな?
やっぱり、無花果だ。いや、単に、無花果の食べすぎかもしれない。
疲れている体に、おいしい甘い甘い果物。


7年前、出産前後、乳首からおっぱいが滲んできた時、
そういえば、無花果を摘んだ時みたいだと思ったっけ…。
乳白色の汁は、それから1年半以上に渡る授乳の始まり、
娘を産んだ頃の思い出が、突然記憶の底から蘇ってくる。
母親としての誇らしい思い出が。(結構大変だったけれど)



博物館のおっぱいがいっぱいの女神様。豊穣の地母神
(おっぱいじゃなくて卵だってことだけれど)
この時代も、みんな無花果を食べたんだろうなあ。
乾燥した大地、乾燥果物、保存され、食されて、
体の栄養、心の栄養、大地の恵み、神様の恵み。
与え、与えられること。
自然。