Festina Lente2

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「ためしてガッテン」と不整脈

「あのう、大したことはないと思いますけれど、少し不整脈出ています」
と言われたことがある。「ためしてガッテン」を見ていて思い出した。
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q4/20061101.html


帯状疱疹で入院した15年ぐらい前、心電図を取った。
検査室に入ると、係の人が知り合いだったので、ちょいとへこんだ。
(きっと、向こうも気まずかった、かもしれない)
硬膜外ブロックのカテーテルの前だったから、たぶん検査したのだと思う。
後日、彼女は仕事の合間に病室まで見舞いに来てくれた。
ケーキ片手に、彼女が言うことには、
院長先生いわく「典型的な教科書通りの症状」なのだという。
でも、それが何を意味しているかは、当時の私にはわからなかった。
(実は今でもよくわかっていない)
それ以来、一度も不整脈なんて言われたことは無い。
でも、「ためしてガッテン」のホルターで24時間検査をすると・・・
うーん、もしかして・・・という気持ちになった。


最近、見聞きした不整脈騒ぎ。入院中のある夜の出来事。
4人部屋の隣の人が、夜中1時半ごろ、「どうしましょう、ドキドキする」と
突然、大声を出した。「胸がドキドキしてとまらないの、どうしましょう」
当然、コール。看護婦さんは聴診して、ホルターをつけて監視する体制をとり、
翌朝、隣人の主治医の整形外科医が枕元にやって来た。


彼は、開口一番、「昨日の夜、不整脈だ出たんだって? 連絡があったけれど。
君、×××以外にまだ病気があったの? 骨折で入院しているのに、
困るよ、専門じゃないんだから、僕にはわからないからね。
内科に連絡しておいたから、今日検査入れるよ。」と言い放って
せかせかと病室を出て行った。うーん・・・。
隣人は骨折で入院していたが、持病を持っていて、入院前から別の病院で
薬剤投与・管理を受けていた。それにしても、ちょっと言い方が・・・。



主治医の言葉にめちゃくちゃ落ち込んだ隣人は、この日、ちょっと大変だった。
「neimuさん、この上、心臓まで悪いって言われたら、私どうしよう?」
(さ−て、どう言ってあげればいいのかな?)
「でも、初めてドキドキしたんでしょ。その後、朝まで眠れていたし・・・。
看護師さんも、ホルターで見ていても、あの時だけ凄くドキドキだったけれど、
後は何とも無かったよって、朝言いに来てくれたし・・・。
主治医の先生も言っていたけれど、今日、内科で専門の先生に
きちんと検査してもらって、何もなければ、大丈夫だと思うよ。
たまたま、入院で疲れていて、熱も出てたし、負担がかかっていて、
体調のせいでドキドキッとしただけですよって、言ってもらえれば、
それで済むことだしさあ。入院している間に調べてもらって、
何もなければ、安心でしょ。何かあれば、診てもらって、治療できるし。 
そうしたら、今の骨折の治療に専念できるしさあ・・・」
(こんな感じの言い方で良かったかな?)


あの時はそう言って、やり過ごしたのだった。
大体、専門家でも何でもでもないから、「心臓のしゃっくり」なのか、
本当に病気が隠れているかどうかなんて、わからないものね。
できるのは、必要以上に落ち込ませたり、不安を煽らないことだけ。
でも、「あんたは、まだ病気があるのか?」は、ないよねえ。
「専門じゃないから、僕にはわからない」
確かに、嘘じゃないかもしれないし、正直な発言かもしれないけれど、
ほかに物の言いようはないのかなあ・・・。
あからさまに不安がっている患者に面と向かって。


「わからないことをわからないと言って何が悪い」っていう問題じゃ、
ないんだけれど。それ、「正直」っていう範疇じゃない。
患者はお医者さんに「わからない」「知らない」って言われるのが怖いし、
不安なものなんだよ。「どうしたらいいの?」って思うもんなんだよ。
専門用語なんて、別にどうでもいいんだ。
頻脈だの期外収縮だのって言われなくても、
「とりあえず今は、ちゃんと検査してみて、結果を伝えるから安心してね」
っていう内容だけで、いいと思うんだけれどなあ。


いかにも、「入院している主訴以外の、専門外の症状を持ち出すのは迷惑だ」
みたいな言い方をされたら、彼女でなくたって、私だって絶対落ち込むし、
カーテン越しに隣から「おいおい、そんな言い方ないって」って
心の中で、突っ込んじゃったもんね、その時。
結果は、何ともなかったみたいだから、一安心だったけれど。
ま、凡人は軟弱で困ると言われればそうですが、病気の時は気弱になるもの。
普段気にしないことが、針小棒大。わかって欲しい。


ためしてガッテン」では、心電図の測り方によって、不整脈の出方は違う、
間違った指令の不整脈は怖くないけれど、不整脈で死ぬ人は1年2万人以上、
なんでもないと思っていても、一度きちんと診て貰おう・・・
って言っていたけれど、「症状を訴える」から「検査」に至る時点で、
既にストレスが溜まるっていることは・・・、案外落とし穴なのかもね。


ちょっと、入院中の出来事を思い出して、軽く欝になったのでした。
まあ、これも風邪で、体調が今ひとつの為せる業でしょう。
外は、春とも見紛う薄曇りの晴れた空。
気持ちよく仕事を終えて、連休を迎えたいものです。
(娘と自分の咳止めだけは、お休み前に調達しようっと)

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