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驚異の結晶洞窟

NHKワンダー×ワンダー「探検! 驚異の結晶洞窟」
ご覧になりましたか!?(再放送は23日) 
いやもう、本日は映画に続きTVも驚くべき世界の連続。
娘も私も大好きな鉱物・宝石・石の世界。
情報を頂いて家人も揃って見ました!
これって本当に、いったい何の結晶? 巨大過ぎる・・・。
岩塩でもない、水晶でもない、平行四辺形の結晶の柱があちらこちらに。
どう考えてもCGとしか思えなくらい馬鹿でかい結晶柱がゴロゴロ。
まるで地底探検、SFの世界。


メキシコ・ナイカの「結晶洞窟」地下300メートルの洞窟。
あちらこちらに伸びる高さ10メートルを超える結晶。
まるで雪の女王の氷の宮殿、魔法の世界。
しかし実際には氷どころか内部は温度45℃、湿度100%。
命がけの探査を専用の冷却スーツで調査に挑む科学者達。


ボローニャ大学のイタリア人の教授が来日して説明。
スタジオ内に持ち込まれた冷却スーツを見ていると、
夏によく見かける棒状のアイスキャンディを何十本も用意し、
スーツのポケットにしまいこんでいるような、そんな感じ。
でも、実際はこの服でガードしていないと目も肺も火傷してしまう、
そんな過酷な環境をものともせず、洞窟をくまなく探査し、
地図を作り上げて研究し続ける根性・・・。
というか、やっぱり好きなことに没頭している人は楽しそう。

エリケ・スヴェン・トゥール: クリスタリサティオ ― 結晶化

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洞窟探検入門 (文庫クセジュ)

洞窟探検入門 (文庫クセジュ)


巨大な結晶は実は石膏の結晶。え? 石膏ってあの白い?
水晶ならともかく、どうして透き通っているの?
ということで、石膏の結晶を見てみると透明な平行四辺形。
ということは、液体というか、溶液の中でかなりゆっくり時間をかけて、
結晶化が為されない限り、これほど大きな結晶はできない。
同じような洞窟があっても、条件が整わないと結晶は成長できず、
魔法の宮殿は出来上がらないというわけ。


残念ながら、ナイカの洞窟は再び水没予定とか。
この結晶洞窟を探査できるのはあとわずか。
この景色にめぐり合えてよかったなあとしみじみ。
昔、塩の宮殿、ポーランドの岩塩抗見学をした時のことを思い出した。
あのときの感動が思わず蘇った。
ヴィエリチカ世界遺産に登録されている。


小学校5年の時に初めて見た鍾乳洞といい、地下の世界の神秘。
昔は胸を躍らせて石ころや貝殻の一つ、ひとかけらにロマンを感じ、
胸をわくわくさせたものだけれど、そういうものから遠ざかり、
現実をやり過ごし、日々に押し流され何かを思い出そうとしても、
思い出しかけて忘れてしまうような慌しさで終わってしまう。
そういう日々を、あの透き通った巨大な結晶は、
どーんと貫いてくれたような気がする。


本当は難そうに見えて脆い結晶。でも時間をかけて、
巨大な柱に成長した石膏の結晶。気の遠くなるような時間。
透き通ったえも言われぬ美しさを花開かせている結晶。
人の手の及ばない自然の美しさは神の造詣。
確かにそうだと思わせてくれるナイカの結晶洞窟。
そんな景色を心の奥底に刻み、また日常生活に戻る。


心の中に滴り落ちる何かが、私の内部に何を育てているのか。
いつかわかる日が来るのだろうか。
思い出せる日が来るのだろうか。
暗い穴に水が満ち、ゆっくりゆっくり結晶化する。
そんな時間が私にまだ残されているだろうか。
気が付かない時に水が引き、思いがけない景色が広がる。
そんな世界を自分の中に見出すことができるだろうか。
もっとも未知の世界ともいえる、自分自身の中に。


そんなことを、改めて思ったりした、今日。

音の結晶―多田文昌文様集

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結晶

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