Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ペーター・グートのウィーンに酔う

本日のコンサート、指揮とバイオリンはペーター・グート。
評判通りの名演奏、名指揮。茶目っ気たっぷりのプロの技を披露。
ウィーンをそのまま日本に連れてきてくれたかのような感じ。
そう、その名もウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ。
30人ほどが信じられないほどの豊かな音量を紡ぎ出す、その実力を堪能。
本場のウィンナ・ワルツ、軽快なポルカを聞きながら、
一足お先に春を楽しむとは、まさにニューイヤーコンサートにふさわしい。


連日の強行軍、日本での演奏も今日を含めて残す所三つ。
その疲れを感じさせぬ、力強いオープニング。
堂々とした体躯のメンバーの中に、日本人が1人いる模様。
ああ、シュトラウスに倣って指揮をしながら演奏する巧みさ。
娘もびっくりしている様子。本場直輸入の雰囲気に呑まれる心地よさ。
では、今日の演目をご紹介。


☆第1部
「こうもり」序曲(ヨハン・シュトラウス2世)
トリッチ・トラッチ・ポルカヨハン・シュトラウス2世)
「こうもり」より“侯爵様、あなたのようなお方は”(ヨハン・シュトラウス2世)
皇帝円舞曲ヨハン・シュトラウス2世)
ギャロップ「ため息」(ヨハン・シュトラウス1世)
ワルツ「ウィーン娘」(ツィーラー
ポルカ「クラプフェンの森で」(ヨハン・シュトラウス2世)
「こうもり」より“田舎娘をやるときは”(ヨハン・シュトラウス2世 )


☆第2部
メリー・ウィドウ・ワルツ(レハール
メリー・ウィドウ」より“ヴィリアの歌”(レハール
「ウィーンの女たち」より“ネヒレディル行進曲”(レハール
ポルカ「蒸気を上げて」(エドゥアルト・シュトラウス
鍛冶屋のポルカ(ヨーゼフ・シュトラウス
ポルカ「電話」(ヨハン・シュトラウス2世)
ワルツ「美しく青きドナウ」(ヨハン・シュトラウス2世)
ポルカ「狩り」(ヨハン・シュトラウス2世)
ワルツ「春の声」(ヨハン・シュトラウス2世)


アンコールはクリスマスソングの印象が強い「そりすべり」、
ヨハンシュトラウス2世のポルカ「雷鳴と稲妻」、
そして、娘が演奏会で弾いた事もある、この手のコンサートの定番、
あの有名な「ラデッキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス1世)。
たっぷり楽しませて頂いた2時間だった。
小さな地方のホールなので、身近に音楽と演奏者を感じることが出来る、
心豊かな時間を過ごした。


ちなみにわが娘は、1,999年生まれ。
ヨハン・シュトラウス記念年(ヨハンシュトラウスⅡ没後100年)生まれ。
これも何かのご縁かな。

レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」(全曲)

レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」(全曲)

  • アーティスト: ウィーン国立フォルクスオーパ管弦楽団,コラー(ダグマール),プリコーパ(ヘルベルト),ミニッヒ(ペーター),グランツァー(ロベルト),イーロッシュ(ミルヤーナ),ウィーン国立フォルクスオーパー合唱団,カルチコフスキー(リシャード),ヒューメル(クルト),カンドゥッシュ(ヴォルフガング),ビーブル(ルドルフ)
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2008/05/21
  • メディア: CD
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ウィーンの森の物語~シュトラウ

ウィーンの森の物語~シュトラウ



冬の寒い日、暖かい部屋で音楽を楽しむ。
新年、NHKニューイヤーコンサート、ニューイヤーオペラ、
そういうものを楽しむのが元気な頃の母の習慣だった。
田舎の女学校で「ハニホヘトイロハ」で音階を習った母、
結婚後、つましい内職の貯金をアップライトのピアノに、
子供に音楽を習わせた母。でも、娘の私にはそれほど音楽の才はなかった。
幼稚園時代のヤマハ音楽教室、小学校から中学に掛けてのピアノ、
それは中学の終わり、ロックの洗礼を受けると、
クラシック音楽への興味はあっさりどこかへ行ってしまった。


部屋の物置、飾り棚と化してしまったピアノをどんな思いで?
母が自分でピアノの前に据わっているのを見たことは無い。
家事に仕事に追われて年を取り、まだら呆けの日々、
自分から外に出かける事のなくなってしまった母だが、
最近少しばかり調子がいい。
娘の音楽教室のつてで、コンサートチケットがお安く手に入った。
さて、母は出かけてくれるかどうか。


少々頓珍漢な身なりではあるが、自分で服を調えてきたのでうるさく言うまい。
娘もそう。出かける前に余りうるさく言って、興をそいでははならない。
高齢の母を電車で連れ出すのは大変だが、会場は車で行ける。
好きだったウィーンのニューイヤーコンサートの雰囲気、
ヨハン・シュトラウス、ワルツ、軽快なポルカメリー・ウィドウ
少しでも楽しんでもらえるならば、それでいい。


母・私、娘、親子3代並んでコンサートを楽しむことが出来た。
軽くリズムを取りながら、メロディに聞き入っている。
サービス精神に溢れた指揮者は面白い身振りで、笑わせてくれる。
どれもこれも、楽しい曲、良く聞く曲、有名な曲、口ずさめるメロディ、
玉を転がすような美声、ソプラノの美しさを久しぶりに堪能。
たまたま今日が遠足だったので、疲れが出たのか、
休憩中から第2部に掛けて転寝状態の娘も、その後はしっかり起きて聞き、
「面白かったね、楽しかったね」と喜んでくれて、かーちゃん大満足。


来日した音楽家の演奏を半額で楽しめた、お値打ちの夜、
(チケットを入手、というのはなかなか家計にはシビア)
母と外出できた、今年初めての夜。
願わくば、まだまだこういう機会を持ちたい、持ち続けたい。
少しでも外の世界の刺激を受けて、昔の母の片鱗を見せて貰いたい。
幾つになっても親が元気なのは嬉しい。
子を持って知る親の恩。
遅くに子供を授かった私は今のうち、沢山娘と過ごさなければ。
その思いを、母に、娘に。
ウィーンの空気を心に深く吸い込んで、家路を辿る。夜は更ける。

カリヨン~幸田浩子 愛と祈りを歌う(DVD付)

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