Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

親子のためのオーケストラ体験教室

家人の凝りようはどうかしていると思うのだが、
またまた大阪フィルを聞きにやってきた、天下茶屋の昼下がり。
ここまでしょっちゅう聞いていると、団員をチェックしている自分が怖い。
おまけにまた今日は、子供向けということもあって、皆さん私服。
無礼講に近いコンサートなので、泣こうが騒ごうが構わないらしい。
初めて参加した私たちには目が点の、親子のためのオーケストラ。


指揮・お話:円光寺 雅彦
1.オーケストラ演奏
  チャイコフスキー/バレエ組曲「眠りの森の美女」より“ワルツ”
2.オーケストラのそれぞれの楽器の音を聴いてみよう(楽器紹介)
3.オーケストラの楽器を触ってみよう
4.オーケストラを指揮してみよう
  J.シュトラウス?世/ラデツキー行進曲
  ベートーヴェン交響曲第5番「運命」第1楽章より
5.オーケストラに参加してみよう
  ビゼー/歌劇「カルメン」第1幕前奏曲闘牛士」末尾
6.オーケストラと一緒に歌おう
  森のくまさん(作詞:馬場祥弘アメリカ民謡)
7.オーケストラ演奏
  サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」Op.47より“バッカナール”

  


夏休みの特別な一日
今日は、子供のための特別なコンサート、オーケストラ。
様々な楽器の説明がそれぞれ加えられ、音色を比べられる機会。
子供たちが飽きないように構成されている。
弦楽器、木管楽器金管楽器、打楽器。
ホルン奏者はラッパのついた只のホースを立派に吹きこなして、
子供たちの拍手喝さい。チューバを抱っこした太ったおにーさん、
ラジオ体操の曲を演奏しながら、本当に体操。
いやはや全く大層な芸。みんな喜ぶ喜ぶ。

 

 


ぴかぴかに磨き上げられた楽器に、世界が写り込む。
音が楽器から天井に跳ね返り、響き渡る。
そう、楽器は高級なおもちゃ。子供の目からは魔法の道具。
あの小さな棒から甲高いメロディーが。
不思議な糸の集まりから、甘やかな音が滝のように流れてくる。

 

 


本当にセロ引きのゴー主は動物たちをその中に入れたのか、
カスタネットやトライアングルが、いつもと違う音を響かせるのは、
そして、指揮者は棒を一本持っているだけなのに、
何故音を操れるのか。何の楽器も持っていないのに。

 


様々な楽器を触らせてもらえる貴重な体験。
さすがに内気でもじもじしがちな年齢になってきたが、
せっかくの機会なのでチャレンジ。
こういう時は小さい子達の方が物怖じしなくて強い。
小さい子達とは異なり、打楽器よりも管楽器に挑戦してみた娘。
春に大阪音楽大学の博物館でアルプスホルンを吹いて、
誰よりも音が出せたのに気をよくしていたからか。
それにしても、まじかに見る楽器は思っていたよりも大きい。
そして、音が体に響いてくる。
体感。そんな言葉が本当にしっくり来る。

 



指揮者体験。せっかく手を上げても、じゃんけんで負けると駄目。
娘もカルメンの指揮をしたかったようだが、残念。
大人は『運命』の出だしを。
自分も指揮棒を振ってみたい気がするけれど、出て行く勇気はない。
いつの間にか自分から音楽は遠ざかっている。
体の中から湧き上がるような強い思いで音楽を引き止められなくなっている。
そんな気持ちがしてしまうから。


音楽は今でも好きだし、生演奏も好きだ。
しかし、10代から20代の若い頃のように
毎日音楽に囲まれて過ごしたいとは思わなくなった。
ウォークマンなる物が流行る前、どれほど日常生活の中に音を求めたことだろう。
おそらくそれは若かったから。
嫌いな人ならば眉を顰めるような大音響のロックも平気で、
クラシックもプログレッシブも自分にとって同じ価値があった頃、
コンサートは高嶺の花、なかなか出かけられなった。
それだけに貴重でありがたいものだった。


だから、貧乏性な私は音楽は趣味の領域で、観劇や音楽鑑賞は、
特別なものであり、生活の一部分というには余りに高尚、
そういう貧乏根性が心のどこかに染み付いている。
都会の田舎、田舎の都会に住んでいて、
職場でも小さな子を持つ親は余りいない。
情報交換もないし、いちいち集めてくることもないまま、
気がつけばあれも初めてこれも初めて。


そんな中で一度凝りだしたら何度でも繰り返す家人。
私は音楽が好きでも、何度も同じ面子で聞こうとは思わない。
クラシック一辺倒で聞き込んでその世界に飛翔し、
没頭できるようなそんな聞き方は、集中力を要する。
あれもこれも聞いてという生活はできないし、したくない。
そんな意固地な気持ちが揺れている私。


せっかくの限られた休日を色んな方法で過ごしたい。
どうせコンサートを楽しむならば、せめて違うジャンルの曲を聴きたい。
娘に聞かせるにしても、無駄に贅沢をさせたくない。
短期間にあれこれ聞かせて、それなりの印象を与えることが
できるかどうか、はなはだ疑問。
散漫になるだけだろうと思うのだが、
家人は見境なくコンサートの予定を入れる。
ひと月に2度もオーケストラ、こんな贅沢、映画より安いから許される。
そう思って、嬉しさ半分諦め半分でお付き合いしている贅沢な午後。


子供たちは天国と地獄に合わせて走り回っている。
そんな自由奔放さ、若いエネルギーを間近に見ながら、
ちょっと付いていけない私がいる。贅沢なはずの昼下がり。
家人入れ込む、大阪フィル様さまの贅沢な午後。

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