Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

明日から家人は出勤

家人が単身赴任先へ戻る。といっても、車で行ける距離だが。
認知症を患う義理の母と老いて短気な義理の父、
生まれた時から父親の単身赴任に慣れきってマイペースな娘と、
仕事に追われて心ここにあらず、何時帰って来るやら分からぬ女房、
平日の食事は病院食よりもひどい殺伐としたものだった。
仕方がない、一年で一番忙しい2月3月、年度末。
働いているということは、ずっと傍にはいられないということ。
休めない時期、誰も傍にいられない時期に、
家人は思うように歩けず暮らせず、自宅療養になったかどうか。


そんな家人は明日から出勤する。両松葉杖を付きながら。
これ以上休むと首が危ないという。
大腿骨骨折の診断書はまだまだ休める日数。
なのに、明日から出勤するという。雨の予報なのに。
リュックサックを背負い、誰にも邪魔されない、
好きなだけパソコンに向かえる、好きな音楽・TV・電話、
いざとなればデリバリーだって取れる。
便利な世の中。


ちっとも看病らしいことは何一つ出来なかった。
仕事に追われて、土日だけしか休めない。
休みの日はずっと掃除と洗濯に追われている。
美味しいものを作る気力を搾り出すのも難しい。
自分で作ったり食べたりする気力も湧かない。
そんな余裕のない毎日の中で家人はさぞかし・・・。


家人が怪我をして1ヶ月。
梅がほころんだのも咲いたのも知らないまま如月が行く。
どこにも出かけず、仕事に追われたまま如月が行く。
1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。
足底筋膜炎の痛む足を引きずりつつ歩いていても、
なかなか待ってくれなかった家人と娘。
その彼が、両松葉杖を付いて自由へ向かって歩こうとしている。


一人で暮らす自由、誰にも気兼ねせずに暮らせる時間を、
休んでいる気兼ねから逃れて、仕事が薬。
歩く練習を少しハードに、前向きに始めるだけ。
手術した主治医に言われたそう。
「早く帰って来い」と待たれているうちが花だと。
確かにそれはそうなのだが・・・、二次災害に巻き込まれないでね。


そう、けっして子供ではないけれど、
一番はしゃいで怪我したあなたが心配。
骨密度の低いあなたが心配。
骨質の悪いあなたが心配。
一人で出勤、気をつけてね。
明日から、両松葉杖でもあなたは自由。

移動補助具―杖・松葉杖・歩行器・車椅子

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ぼくは松葉杖のおじさんと会った

ぼくは松葉杖のおじさんと会った