Festina Lente2

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やっぱりね


やっぱりね、アカデミー賞は期待が外れると予想していた。
ノミネートされても日本人は賞が取れないと思っていたし、
日本側から見たアメリカを描く映画も、
アメリカがやられる戦争映画だから、駄目だろうと思っていた。
だから「バベル」も「硫黄島からの手紙」も、
絶対にアカデミー賞では、
「本命」にならないだろうと最初から思っていた。
アメリカを描いたものでなければ認めたくない、
そういう感じが、ぷんぷんしていたもんね。
でも、ほんの少しだけは期待もしていたのだけれど。


ドキュメンタリーだって、結局自分の国の前副大統領に
賞をあげる形になっている。幾らあげたって、実質
京都議定書を否定しているアメリカが、どこまで地球温暖化
真剣に対処できるか疑問なので、対外的な点数稼ぎの賞に思える。
戦争で、環境問題で、対外的に失敗しているアメリカが、
アメリカを題材に映画を作ってきて賞に縁が無いスコセッシに
今回は、ま、あげようかといった感のアカデミー賞
ディパーテッド」に迫力と緊張感はあるが、その外は?

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本当は「硫黄島からの手紙」に欲しかったけれど、
ミリオンダラー・ベイビー」で賞を取っている
クリント・イーストウッドにしょっちゅう賞は無いだろうと
それだけはわかっていた。
アカデミー賞に関係する映画で、あと見に行けたのは
「カーズ」だが、この追憶優先タイプのストーリーも
多分駄目だろうと思っていた。


同じく追憶優先の、古きよきアメリカの異端を髣髴とさせる映画
「ドリーム・ガールス」どちらかというと、この作品が好き。
1番の理由。「シカゴ」同様、ミュージカル仕立て。
そして、感情移入しやすいので、感動もしやすい。
歌、ダンス、圧倒的な歌唱力と画面構成。
既に出来上がっているビヨンセよりも、新人が楽しい。


それにしても、化粧と衣装であそこまで変われる?
それが演出の成せる業としても、凄いね。
テーマとしては、ありふれたものではあるのだけれど、
自分自身の人生を掴み取りたい女性と、
自分の夢を作る為の道具をして人を扱う男性。


家族・恋愛・才能・友情・嫉妬・打算・駆け引き、
そして溢れるほどの音楽、音楽、音楽。
R&B、ROCK、ディスコミュージックまで。
ソウルフルなものから、そうでないものへ。
人種的な偏見と時代背景を絡ませて、
誰がモデルなのか、様々な憶測を潜ませて。


それぞれの夢が絡まりあい、疑似家族を創り上げて
スターを目指して一直線、でも・・・。
全ての人間が満足できる関係や仕事はありえない。
世間でいう幸せが、成功と直結していると限らない。
物語からはみ出した人間が、陰で物語を動かす構造。


ちゃんと、ラストは感動できるように復活と和解の要素。
さすが何年も愛されてきたブロードウエィの、
舞台の映画化だけのことはある、面白さ。
新人ジェニファーに食われているかの感がある、
ビヨンセのスターらしい雰囲気が満喫できる
中盤以降がカメラワークの見せ所で、
前半は摑みの迫力目白押しなのが、楽しい。


癒されるのなら「ディパーテッド」よりもこっちだなあ。
ま、映画に何を求めるかだけれど、
結局人種的なものも大きいよね。アメリカの受賞の基準は。
差別と区別の、微妙なやりくりで成り立っている。
アカデミー賞というshow。

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