Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

淡輪 アジ釣り初体験

待ちに待った家族で海釣り初体験。キャンセル待ちで運良く参加できた、
海洋センターの行事だ。
阿南の海で3歳半まで育ちながら、物心つくか付かないかで
海辺の町を離れてしまったので、娘には海の思い出が余りない。
宝探しをした砂遊びぐらいしか、記憶に残っていないらしい。
家族のルーツを徳島に持つ私たちは、鳴門・阿南での思い出を
ことのほか大切にしている。


勤務場所が移り変わっていくのは、勤め人の常とはいえ、
それなりに思い出深い地を娘に伝えられないのは、少し哀しい。
出会いの鳴門、新生活の阿南、海の幸山の幸に恵まれた徳島、
自然溢れる環境で子育てしたかったというのが、親としての本音。
都会(生活)の良さを、上手に教えるのは難しい。
刺激の多さ・便利さだけで終わってしまって、
何かが足りない、欠けているように感じている私。

                    

私は浜育ちだから、海辺で遊ぶのは得意だ。磯遊びはお手の物。
小学生の低学年の頃、勝手口の煉瓦下のミミズを掘り出し、
空き缶に入れて浜辺へ、針金の即席釣り針、棒切れと釣り糸。
それで、晩ご飯のおかずになるくらい、結構小魚が釣れた。
空き缶を渚に置いておくだけで、桜エビを掬い取ることができた。
泉州の浜辺が臨海工業地帯として埋め立てられる前は、
自由気ままに孤独を楽しみながら、子供なりに「漁」ができたのだ。
できれば、少しでも娘に海辺の体験をさせてやりたい。
記憶に残したいと思って、今回の企画に応募していたのだった。


諦めかけていた1週間前、キャンセル待ち繰り上げ当選で、
大阪は泉南郡岬町淡輪(たんのわ)の青少年海洋センターの行事、
渚探検隊に親子3人で初参加、家族で海釣り初体験。
本日の目標は、釣りの仕掛け作りからアジ釣り、クルーザー乗船体験。
家族に釣竿2本、本格的なものと、子ども用の軽い竹の釣り竿と、
セッティングの仕方から教えてもらえる。
バケツも餌も、釣り指導のスタッフから地元の漁師さんまで、
至れり尽くせりの釣り体験。昼食はセンターで。


実は海洋センターに娘と訪れるのは、2回目だ。
2年前の夏、OPやカヌー、磯焼きなどの体験行事に参加した。
ホタテやえびを焼く惜しげもなくどんどん焼く海鮮バーベキューや、
タコライス等、食べ物はしっかり記憶に残っているらしく、
娘は喜んで今回も参加したのだった。

                  

遥か昔、私自身がキャンプリーダーだった頃、
海洋キャンプの手伝いにここへ来たことがある。
家人にとっては全く初めての場所。「みさき公園」の一つ手前と知って、
地理、位置関係がはっきりしたよう。関空から車で30分といった所か。
小学校時代、淡輪はつつじの名所で遠足場所。
みさき公園よりずっと向こう、かつての軍需工場跡地、
今の関西電力多奈川発電所は、写生大会の場所。


寒さを警戒していたが、私は晴れ女。天気は快晴、風もなく気温は高め。
海辺で直射日光を浴びても大丈夫になった家人も、徳島を思い出して嬉しそう。
しかし、全員サビキ釣り は初めて。よって、次々にトラブルが。
まず、あちこちに引っかかる。服に、靴に、自分の手足に。
情けないったらありゃしない。イテテ、イテテ、イテテの連続。
リールがうまく巻けず、糸がたるんで絡まったりは当たり前。
お隣さんと絡んで、「まつり」にならなかっただけでも儲けもの。


それでも午前中はアジも昼食時だったのか、入れ食い。
かかるかかる、餌を付けて糸を垂れた瞬間に、引きが来る。
初心者にとっては嬉しい快感!
南楽園の金魚釣りで鍛えた娘の腕も、アジにはなかなか及ばないものの、
シラスを自分でちゃんと釣り針に引っ掛けて、果敢に挑戦。
子供は1本ずつ竿があるけれど、家族に大人用の竿1本ということで、
暇な時、浮いてきた奴を網でゲット。
かーちゃん、おかずの為に頑張ります。


午前中1時間で、13匹。昼食後、1時半から30分。
午後は、ぴたりと止まってしまって、ボウズ
白鳥号でのクルーズ。潮風に吹かれ、透明度や風向を計測。
帰港して、心機一転。さあ、4時半までと片付け始める頃に
釣れ出した釣れ出した、娘の竹ざおでもびんびん掛かる。
こうなったら面白いのなんのって。大忙しの1時間弱。
釣果、30匹。(アジ29匹、イワシ1匹)大満足。

心地よい海辺からの帰宅時、夕暮れの中で、
娘が学校の図書館で海幸彦・山幸彦の話を読んだと話し出す。
「お兄ちゃんの山幸彦の釣り針を失くして山幸彦が探しに行くと、
海の神様の娘と結婚して、鯛から針を見つけてくる」
お嫁さんの名前はえーと、と悩んでいる。
日本神話も読めるようになってきたんだねと、かーちゃんはしみじみ。
釣りに行って、こんな話を思い出せるようになったんだ。

海幸彦 山幸彦 (日本の物語絵本)

海幸彦 山幸彦 (日本の物語絵本)

我が家の姫よ、今日の釣果は君のお陰かもね。
海幸彦に気に入られたか、山幸彦に気に入られたか。
とーちゃんよ。娘はいい子に育っているよ。
自分で餌も付けられる、魚も触れる。自然を楽しめる。
帰宅して大急ぎで塩コショウの魚に、みんなで舌鼓。
じーちゃんまで、「一杯飲みたくなる」と言ってくれたね。
「美味しくて10年も寿命が延びるようだ」と言ってくれて、
かーちゃんは涙が出たよ。その言葉通り、元気で居てほしい。


我が家の豊玉姫玉依姫よ、楽しい思い出を沢山作って、
とーちゃんかーちゃんをしっかり現世に繋ぎ止めておくれ。
わが子の成長が、毎日の支え。心の頼み。
船の上での元気な笑顔。桟橋で釣りをする姿。我が家の若き刀自よ、
心も体も柔らかなうちに、色んな経験をさせてあげたい。
かーちゃんたちがまだ、動き回れるうちに。
海の中には母がある。母の中には海がある。
いつもいつの時でも。


神話の中だけでなく、毎日の生活も潮満つ玉が持てますように。
                潮干る玉が扱えますように。
「心の満ち引き」にタフで居られる君、私たちでありますように。  

楽しい古事記 (角川文庫)

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日本の神話

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