Festina Lente2

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娘はキャンプ、しばしの別れ

娘がキャンプに旅立って行った。4泊5日高知県室戸にて。
台風が心配だ。しかし、高齢の夏のキャンプ参加。
一人っ子ゆえ、保育園育ちのメリットを生かして、
異年齢の集団の中でリーダーと共に色んな経験をして貰いたい。
今年はどんなことが待っているか、初めての海キャンプ。


生まれて3年半しか、海の側で育てられなかった。
阿南の砂浜、潮風、プライベートビーチにも等しい小さな浜辺。
風にそよぐ白百合、宝探しの思い出、海の家、バーベキュー。
自転車の前に載せて、A型B型ベビーカーで、
物心付くか付かないかの娘と共に散歩した日々。
いいえ、そのずっと前。身籠った体をよっこらせと運動を兼ね、
待つぼっくりを拾いながら浜辺を散歩した産休初め。


海。浜育ちの自分にとっては海辺での育児は楽しかった。
なのに、成長した娘は4つ以前に離れてしまった海辺の記憶を、
どこかにやってしまった。船で徳島を離れ、東京に向かい、
川沿いに上って埼玉・草加で暮らした日々は覚えているのに。
温水プールと図書館、公園の記憶はあるのに、
最初の海辺の記憶を遠くに押し流してしまった娘。
かーちゃんにとっては生まれてくる前から、生まれてきた後も、
わが子との蜜月期間とも言える、心に羽が生えていた頃の思い出が、
娘に共有して貰えないという皮肉。


海で何を得てくるか。行ってらっしゃい。
でも、何度目でも慣れない、娘とのしばしの別れ。
娘の方は家族キャンプも含めて、10回目ぐらいかなあと指折り数え、
「私はキャンプのベテラン♪」などと鼻歌交じり。
親元から離れて羽を伸ばす生活に、心ウキウキわくわく。
かーちゃんはだんだん湿っぽくなっていく。


とうとうバスが出発して行った。
行ってらっしゃい、気をつけてね。
何だか、いつもと違う集合場所のせいで疲れてしまった。
かーちゃん、朝っぱらから脱力・・・。
かーちゃん、感傷的。

海からの贈物 (新潮文庫)

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それもこれも、為政者のせい。子供が集まる場所も、
青少年育成事業に関する施設も、みんな身売りさせて、
駐車場のある集合場所も、演劇や会議室のある場所も、
みんなみんな使えなくしてしまった。
今までよりも遠い、不便な場所で、駐車場も無く、
待合室も情報も収集できない辺鄙な場所で、
これから見送り出迎えが続くのかと思うと、気が重い。
子離れ1日目は、気が立って、気落ちして、マイナー思考渦巻く。


子供や青少年の施設、文化的な教育に関する施設を真っ先に取り上げ、
「子供が笑って暮らせる大阪」なんてキャッチフレーズ、呆れる。
おまけに、まだ不便で辺鄙な場所に府庁移転を考えている。
水都大阪に、訳のわからないお祭り騒ぎに血道を上げるよりも、
その予算を抑えて搾取し続けるのをやめてほしい。
改革? パフォーマンスで目立ちたいだけ。
ただでさえ、文化果つる大阪なのに。


関係ある事もない事も、選挙絡みでうんざりすることが多い。
日々のニュースや新聞を見るのも煩わしくなって来ている。
高校全入、とんでもない。18歳で成人、信じられない。
財源確保の当てが無いのに福祉福祉という掛け言葉。
増税、搾取が進むだけなのに、医療費無償だの子供の人数に応じて手当金など、
ばら撒くことばかり考えて、その先を考えて整備しない政治。


消費社会のマイナス面を教えず、給付金は消費が繋がると奨励、
単に無駄遣いを促進し、ケータイ代や飲食費だけが増えていく。
教育費は真っ先に削られ、貧富の差は学力の差に繋がり、
格差社会はより進み、新しい格差を生み。
お上のする事は決まっている。差別化を進めること。
生活に精一杯の層を作り出したほうが、
選択肢や考える余裕の無い層を増やした方が、
自分達が何をするにも都合がいい。


マンガの世界ではキラーウィルスは弱者、高齢者を襲うものだった。
指導者層に当たる世代、邪魔な世代を抹殺し、社会を若返らせ、
一部の人間が権力を独占するという設定。
独裁者の思想は、いつの世にもトカゲの尻尾切りから始まる。
打ち上げ花火を見せておいて、暗い世の中に光があるような錯覚。
イベントとイリュージョンの陰で、ひたすら搾取を続ける。
なのに、皮肉なことに今夏の大阪は新型インフルエンザが暗躍。
若者から襲わている。逆SFの世界。
今の時代、タフなのは戦争を生き抜いてきた世代で、
消えていく者、弱いから消されていくのは、
産土(うぶすな)の消えた土地で生活する若者なのかも。


まるで蟲師の世界。荒れ果てた土地に、失われた産土。
土地の恵み、昔からの当たり前の自然。
私の知る大阪の海辺は、どこにも見当たらない。
人工的なウワモノで覆い尽くされた、浮ついた施設ばかり。
ここから、偽王になりたがっている人間が、
何かと同じように高い所に上りたがって、
人を見下ろしながら仕事がしたいと言い続けるのなら・・・。
偽王らしく葬られればいいのに。


娘を見送ったあと、かーちゃんはどんどんマイナー思考だ。
仕事で本に埋もれ、よろよろと資料トランクを引きずり、
料理する気力も無く、家人と待ち合わせて外食。
とーちゃんは、娘から離れ気落ちしたプチ鬱かーちゃんの子守に追われる。
子離れ1日目のいつものことだと、勝手知ったる落ち着きようだ。
娘という太陽が側に居ないと、かーちゃんは湿っぽい洗濯物のよう。
乾くどころか、本当の台風が近づいてきている日本。

海~ドビュッシー:管弦楽曲集

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海の名前

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