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読書手帳を頂く

見知らぬ方からのお便り。思いがけないお便り。
毛筆達筆の封筒。中には3冊の読書手帳
「こんな本を読んだよ」発行/大阪読書推進会とある。
恥ずかしながら、市販の読書記録用の本は知っていても、
こういう手帳があることは知らなかった。
薄い1冊の手帳で、150冊の読書記録が記入できる。


中表紙には、ヘレン・ケラーの詩が添えられていた。
「本」
本は、わたしが見ることの
できないおもしろいことを
たくさん教えてくれます。
それは人間のように疲れたり、
困ったりすることは
まったくありません。
くり返し、くり返し、
わたしが知りたいことを
教えてくれるのです。

この読書手帳を送ってくださったのは、
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20071027 でも取り上げた
「子どもの本フェスティバル」主催者側の書店の方だった。
娘が言うには、本の挿絵や表紙が書いてある絵葉書があり、
何の本だか誰の本だか家人と話しながら見ていたら、
「話しかけてきたおじいちゃん」いらっしゃったのだそう。
そして、娘がよく本を読んでいると褒めてくださり、
読書手帳を送ってあげると約束してくれたのだとか。


本日約束違わず届いた手帳と共に、
朝日新聞での関連記事のコピーも同封されていて、
丁寧なお手紙が添えられていた。

読売新聞社が主催しているこの催しを、大阪府下の書店が
子どもの読書推進のために応援していること。
絵本の絵葉書を見て題名を当てていた娘に驚いたこと。
読書ノートを活用してもらいたいこと。
読書好きの子どもが増えることを祈っていることなど、
娘にも読めるようなやさしい言葉で、書き綴られていた。


私自身は研修があって、このフェスティバルに参加できなかった。
家人が娘を連れて行ってくれたのだけれど、
こういう御縁で、思いがけないお便りを頂き、
親としては何といって言いか、嬉しい限り。
親以外の人から、娘の本好き、読書を応援して頂ける、
なんと有り難いことだろう。なんと励みになることだろう。


実は、娘の1学期の保護者懇談会の席。
担任の先生からは、本を読んでいる割りに文章が下手で、
感情表現ができていない幼稚な文章しか書けていないと、
その語彙力と文章能力との差を、手厳しく指摘されていた。


親としては平日娘と接する時間が少なく、
いちいち娘の読んでいる本までチェックしているわけではない。
作文・持ち物・連絡帳のサインも忘れがちで、
(娘の就寝後帰宅、朝のやり取りはあたふた、
 何ともお粗末な生活指導、家庭内教育のせいもあるが)
実に監督・指導・心遣い不行き届きだと責められても、
仕方の無い部分ではあるものの・・・
情けなくやるせないこと、この上なかった。


文学少女のなれの果ての母親、雑学読書の父親、
乳幼児の頃から図書館通い、親の背中を見て育ったのか、
本好き、やや運動苦手の遺伝子が組み込まれて成長した娘。
本の虫だった両親の遺伝子を受け継いで成長した娘。
両親と接する時間が少ない分、早くから本の世界に馴染んだ娘。

           
 
そんな娘の「読書好き」な良い側面を、
担任の先生からのひとことで、プラスから見てやれない、
娘の長所が周囲からは評価されないということを
鬱々として過ごした夏休み以降だっただけに、
書店関係者から頂いた思いがけないお便りは、
親としては励まされる、心慰むプレゼントとなった。


読書手帳3冊を目の前にした娘は、早速1冊を
ランドセルに入れて、学校へ持って行って読んだ本を
記入すると言う。学校でも図書室常連の娘だ。
自分で、読書記録を付けていくうちに、
楽しいストーリーだけを追う読書から、
どんどん幅広い分野に目が行くようになるだろうか。

絵本屋さんが選んだ絵本100 (別冊太陽 日本のこころ)

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乳幼児期の読書は、確かに親が絵本を選んで読み聞かせた。
しかし、4,5歳以降の読書は娘が好きな本を選んで読むことが
増えてきた。子どもは自分で読みたい本を選ぶ。
聞きたい話をもう1度読んでとせがむ。
自分で読むことと、読み聞かせの違い、
楽しさを十分味わう力を持っている。
本を選ぶ裁量はある程度まで娘任せ、自由だ。


その力が、文章表現力、書く力とすぐに結びつくかどうか、
その力を、親が十分に伸ばせているかどうか、
あからさまに評価されたくない。
娘の今も、これからの可能性も、
小学校低学年のうちから、マイナス面から評価されたくない。
そんな思いで燻っていただけに、
見知らぬ方から、娘に頂いたシンプルなお褒めの言葉と
お心遣いは、涙が出るほど嬉しかった。
本当にありがとう。


娘よ、見てくれる人は見てくれている。
わかってくれる人はわかってくれる。
毎日、元気よく過ごそう。たくさん本を読んで過ごそう。
一杯食べて、お日様を浴びて、お友達と泣いたり笑ったり、
転校したくなるほど小さな胸を悩ませる友達づきあい、
君は君なりに頑張って生きている。


応援してくれる人がいる。本の世界を栄養に、
君は心の中に深く根を張る毎日を過ごそう。
かーちゃんやとーちゃんが、本から様々なものを得て、
今の自分を創り上げてきたように、
自分に自信を持って頑張って過ごそう。
君に届いたプレゼントは、
かーちゃんとーちゃんにとってもプレゼント。
思いがけないプレゼントだったよ。

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