児童文学を勉強する
車で行けば1時間ぐらいで行けるというが、私の運転では覚束ない。
それどころか知らない道を、それも高速道路を走るのが怖い。
そういうわけで、電車を乗り継ぎ乗り継ぎ出かけると、
優に2時間を超える大旅行になる、大阪中央図書館。
ここに来るまでに体力と精神力を使い果たしてしまう。
本日のお話。なかなかに自分にとってはこだわりがある内容。
忙しいので忘れないようにメモを抜粋。
じっくりまとめるのはいつになることやら。
「子どもの読書と児童文学」宮川健郎氏講演
子どもの本は一般と流通形式が異なる。買い整えるのは親、教師、司書など大人。
子どもの本は買う人と読む人が分裂している。
この指摘は戦時中に既に為されていた。子どもの本における顧客の二重性。
cf)「ちびくろさんぼ」のエピソード。ある時代には推奨、ある時代には批判。
権力でもって大人が子どもから本を切り離す。
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子どもの本が実は大人の言葉、文化、自己表現であったりする。
子どもの現実からかけ離れている。矛盾。
上手く子どもに本が渡るようにするために、身近な大人が少し、
「言葉」を添える必要性→子ども読書の育成。
「媒介者」(ヘーゲル)の存在の必要性→矛盾を新しいものに変える力。
AorBではなく、AandoB→Cに出来る存在
たとえ字が読めるようになったとしても、子どもに本を読み聞かせる重要性。
絵本を物語る喜び。「聞く」という姿勢を幼少時のうちに形成しておく必要性。
教義の教育の話?
声を通して(絵本を読んで貰うことを通して)話を聞く人を作る。
話すと聞いて貰える関係を作る。
読んであげる→自分が面白いと感じたことを分けてあげる。
シェアする。
読み聞かせという「声」(身体性)を通じて関係性を構築。
「声」を届けることの意味。
積極的に届けよう、伝えようとすることの意味。
読み聞かせの楽しさ、能動的にも受動的にも。
cf)父親達は「読めない人」が多い。
故に、子どもと「一緒に聞く」所から始める。
→幼い子ども達に読んであげる「声の文化」が大切。
文字ではなく、声だけで文化が伝えられていた先史。
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長い物語を語るのは難しい。
短い物語を束ねて長く。「声の文化と文字の文化」
文字を伴わない文化の方が普遍的な世界。無文字期を過ごす意味。
「日本昔話大成」無文字・口伝、体に刻み込むように唱える。
1959から始まる「現代児童文学」から・・・。
「声の別れ」
さとうさとるの「誰も知らない小さな国で」は文字から入る世界。
読み飛ばしてざっくり話した方が、読み聞かせの子ども達の反応がいい。
石井桃子いわく「読み聞かせを前提としていない文章だから」
↓
児童文学の分かれ道。児童文学を超えて大人の文学に。
児童文学の空洞化。
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詩的な表現は長く展開できない。散文的である故、
声の文化と密接に結びつく。→伝承、伝説、昔話。
絵本は読み聞かせが主流となり、児童文学は目から。
詳しくすると主人公の動きが止まる。
耳で聞く話は主人公を動静を中心に聞く。
声の別れは歌の別れ。
50年代、宮沢賢治・新美南吉の再発見。
詩的で象徴的な表現への傾倒。
その後、小川未明・浜田広介への批判。
ネガティブな主題を持つ作品への批判。
子どもはもっとエネルギッシュで前向きなもの?
最近になって再び、詩的なもの、文芸性への復帰。
大人の文学と分かれていないという批判もあったが、
時代はクロスオーバー。
童話における物語性の喪失は、ストーリーテリングの喪失。
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キラキラ応援ブックトーク 子どもに本をすすめる33のシナリオ
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話の内容を思い出すため、メモを半分ぐらいにまとめてみた。
レジメと照らし合わせて、もう少し、きちんと整理しないと。
随分飛ばしてはしょっちゃったな。
こういう話を聞く場に出るのも久しぶり。
いずれにせよ、世界の名作文学を読んで育った最後の世代。
文学全集がうちにあることがステイタスだった時代、
図書館は街に少なく、学校図書館が全て。
本は買うよりも、借りて読む。
何度でも同じ本を読む。
黙読でも頭の中で言葉が鳴り響いた時代。
(基本、語呂が悪い本は読めない私だ)
楽しかったが、片道2時間はやはり疲れた。
ショックなことに、文化の日のますむらひろし氏の講演は
満員御礼、とっくに締め切られており、アタゴオル物語ファンの私。
間に合わないことに気づき、ショックを受けて帰った。
私は読み聞かせでは育っていないし、娘にも上手に出来なかったが、
少しぐらいは読んだ。しかし、娘はそのせいかどうか早くに字を覚え、
自分で読むようになってしまい、ちっとも名作文学など読まない。
ライトノベルだけで喜ぶ「浅薄な読書」をしている。
文学全集を読みあさった親の目からすると、何とも役不足で仕方がない。
これも時代か。
こういう講演を聴きながら勉強することさえも、思い出を拾う、
学ぶというよりも、整理する時代に入ってきている頭の中。
これが年を取ったということなのかな。
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